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12/31/2024 本のレビュー、有吉佐和子著、「蒼い壺」(出版社:文春文庫)

執筆者の写真: Yuki T.Yuki T.

<あらすじ>


青色の壺が偶発的に作られ、妻に褒められる内弁慶な陶芸家、省造.その壺はデパートで売られ、引退した夫婦に購入され、その夫婦は会社でお世話になった上司へ贈答品として送る.そして、また別の夫婦の家へ、、、

 

その後、壺は海外に渡り、複数の家庭で保存され、また日本に戻ってくる.筆者蒼い壺を通してその間の戦中や戦後の様々な家庭事情を描く.

 

最後に壺が偶然にも、省造と古美術の鑑定士の前に現れる. 鑑定士は「これは貴重な芸術品で価値も高い」と言うが、省造は確かに自分が作った壺だと思う.そのままタクシーに乗って帰る省造は、運転手の何気ない話を聞きながらも、「青い壺」のことが頭から離れない.

 

<ブッククラブでの感想>


  • 無名の陶芸家が偶然生み出した青磁の壺が、様々な人々の人生を旅し、10年後に美しい古色を伴って陶芸家の前に現れる(しかし、手元に戻ってくるわけでもない)お話.大きなテーマは見いだせませんでしたが、昭和の社会情勢、生活習慣、夫婦間や会社との関係性をベースに、ならではの言葉遣い等がちりばめられた13篇は、どれも人間味たっぷりでした.


  • 「青い壺」に出会えてとても良かったと思いました.提案して下さってありがとう.重ねて読むと、最初に気が付かなかったミステリーや、作者からのメッセージが見えて来そうで、もう一度読んでみたい本です.


  • 戦中に日本の防空壕で結婚記念日を迎えた夫婦の話がとても印象的でした.フランスで海外駐在をした夫は、妻にできる限りのワインやご馳走を想像力豊かに解説する.夫は防空壕でも紳士であり、妻もそれに感謝する.その夫婦にしか分からない貴重な思い出になったことでしょう.


  • 堪能しました.過去唯一読んだ有吉佐和子の「複合汚染」とは全く質の異なる作品で、これまで抱いていた作者へのイメージも覆り、この本に出合えてよかったなと思います.


  • 今まで有吉佐和子の本に興味を持つことがなく、読んだ事がなかったのですが、今回良い機会を頂き、良かったです.懐かしく暖かくも感じる昭和的な家族や生活、それにプロでもアート作品の価値が見る人により全然違う描写も面白かったです.


  • 「青い壺をどの様に想像したか」をブッククラブのメンバーに聞いてみると、本のカバーの様な色、小ぶりな感じなど、メンバーそれぞれ.

著者 有吉佐和子

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