パリ6区の右岸にある小さな教会で初めて「生」でシューマンのピアノ・カルテット 変ホ長調 op 47 を亡夫と共に聞いたのは十数年前になるであろうか.夫は5区(左岸)で生まれ、ルクセンブルグ公園が幼少時の遊び場だったという生粋のパリジャン.よって右岸にあるその小さな教会の存在も知っていた.演奏は若いフランスの演奏家たちで、その熱演ぶりには感動した覚えが今でもある.特に美しく、感動的な三楽章のアンダンテ・カンタービレは一般的に良く弾かれる楽章である.
Burton-Hillによると、クララ・シューマンとロバート・シューマンは(ロバート・シューマンがティーン・エイジャーのころに書いた簡単なカルトットを除いて)1842年6月まで本格的な室内楽曲を作曲したことがなかったそうだ.1842年が ”Year of Chamber Music" 「室内楽の年」と呼ばれるように、6月からその年末までにロバート・シューマンは3曲の弦楽四重奏曲、ピアノ五重奏曲一曲、そしてこのピアノ四重奏曲 op 47 を作曲している.
芸術家一般に言えることではあるが、ロバート・シューマンは「彼の人生と彼が作曲した曲にその性格、人生が最も現わされている作曲家」だとBurton-Hillは解説する.
Cello: Gautier Capuçon
Viola: Lyda Chen
Piano: Martha Argerich
Violin: Renaud Capuçon
このレコーディングで演奏している、ヴァイオリニストのルノー・カプソンと弟のチェリストのゴーティエ・カプソンはフランスの若手の演奏家で、兄ルノー・カプソンはフランスが誇る、現存のヴァイオリニストとして最も優れたヴァイオリニストとされている.編集者がパリで「生」で聞いたシューマンも彼ら兄弟がまだより若かったころの演奏であった.
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