4月4日にイースターを控え、今週日曜日に始まる聖週間.その間にスターバト・マーテルを耳にする機会がおありかもしれない.
悲しみの聖母 Sancta Mater Dolorosa (Our Lady of Sorrows)
“スターバト・マーテル(ラテン語: Stabat Mater、「悲しみの聖母」「聖母哀傷」)は、13世紀のフランシスコ会で生まれたカトリック教会の聖歌のひとつである.中世の詩の中でも極めて心を打つもののひとつであり、わが子イエス・キリストが磔刑となった際、母マリアが受けた悲しみを思う内容となっている.中世以来、西洋音楽の多くの作曲家がこの詩に曲を付けている.” (Wikipediaより引用)
実にたくさんの作曲家のスターバト・マーテルがあり、その数には感心するばかりなのだが、特に有名なのはペルゴレージだろうか.当然ながら深い哀しみにあふれた曲で、こちらの (下記) 二つはお勧めしたい録音.いずれのアレンジも趣味がよく、二人の歌手だけとは信じられないほどのハーモニーの奥ゆき.またアンドレアス・ショルの音域と表現の豊かさには驚くものがある.
アンドレアス・ショル
カウンター・テナーのショルの歌声を初めて聞いた時、その限りない透明感に「天使の歌声というものがもしも存在するとしたら、こんな声なのではないだろうか」と感じたものだ.彼が歌うヴィヴァルディのスターバト・マーテルも素晴らしく、Lent中の心境に実にぴったりくる.
去年の今頃、いつも聴いているクラッシック音楽ラジオ局からショルの歌声がいきなり耳に飛び込んできた.不思議な美しいメロディー.一度も聴いたことのない曲で歌詞の感じから宗教音楽ということはわかったけれど時代はいかにも不明.けれども毎週日曜の夜、そのラジオ局は現代音楽をかけることが多いので、その曲もそうかと思って番組の終わりの曲の紹介を待っていたところ、Marco Rosanoという初めて耳にする現代作曲家のスターバト・マーテルだった.その曲はショルのために何と5年もかけて書かれたとのこと.
磔刑図 アンドレア・マンテーニャ(Andrea Mantegna, 1431年 - 1506年9月13日)1457-60 ルーヴル美術館
おたく極まりないけれど、その頃 “The Ultimate Stabat Mater Website”というすごいサイトも見つけた.お時間があればご参照ください.
"Music is enough for a lifetime, but a lifetime is not enough for music." というラフマニノフの引用が強い実感を伴って心に浮かぶ.
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