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  • 執筆者の写真Takeaki Iida

3/28/2023 音楽家と作品への雑感 「ラフマニノフ」

第10章 セルゲイ・ラフマニノフ Sergey Vasilyevich Rachmaninoff

(1873年~1943年69歳没)

 

近代ロシアの偉大なピアニストで作曲家であり、オペラ指揮者としても帝政ロシア末期の第1人者であった.裕福な地主の家に生まれたが、浪費家の父親のために家は没落し、母方の家族と共にサンクト・ペテルブルグに暮らす.9歳(1882年)でペテルブルグ音楽院に入学、15歳(1888年)でモスクワ音楽院でピアノ及び作曲を学んだ.30歳代からドレスデン(ドイツ)で活躍する一方、時々、モスクワへ帰っていたが、1917年のソビエト革命で、スイスのルツェルン郊外に(今も孫が住む)別荘を買い、そこで静かに作曲できる時期があり、名曲「パガニーニの主題による狂詩曲」他を作曲.その後、アメリカに渡り(1942年)ビバリー・ヒルス(ハリウッド)を第2の故郷と定め、晩年はスターリンの再三の帰国呼びかけにも拘わらず、第2次世界大戦の勃発もあり、祖国の地を踏むことは無かった.

モスクワ音楽院在学中から尊敬していたチャイコフスキーの影響を受け、ドイツのロマン派とロシア国民楽派の作風を折衷したような作品を多く作曲.傑作と言われる作品の大部分は亡命前の若い時期に書かれた物が多く、哀愁や祖国愛が表れた曲想が多く、生きた時代には珍しい大衆性のある保守的な作風で主にピアノの名曲を多数残した.


ラフマニノフはピアノ演奏家としても名手であったが、両手を合わせるとピアノの白鍵22個分の大きな手であったことも伝えられている.


曲目の紹介


※1 ピアノ協奏曲第1番


アシュケナージ(ピアノ、Pf)のピアノ協奏曲第1番(C-26)はテンポが速く緩急の切り替えしも多い、演奏家にとっては難曲だと思う.

※2 ピアノ協奏曲第2番


A. 同じくアシュケナージのピアノでコンドラシン指揮モスクワ・フィルハーモニーの演奏によるピアノ協奏曲第2番(R213)は前半は暗く重い空気間で重厚に,、後半は華麗に響くピアノの鍵盤音が大変印象深い.


B. 辻井伸行のピアノ、佐渡裕指揮のベルリン交響楽団演奏(C-56)は適度なテンポと軽快な演奏で気張らずに、この名曲を楽しく聴くことが出来る.


C. 他にも聴き直した数人のピアニストによる演奏はどれも良かったが、特にヴァルトビューネ野外コンサート (ベルリン) のキリル・ゲルシュタイン(Pf)とキリル・ペトレンコ指揮のベルリンフィルの演奏(CL2-Q)は、森に囲まれた野外の夏の夕暮れに相応しい演奏で大変に気に入った.


D. もう一つ、河村尚子(Pf)のファビオ・ルイージ指揮のNHK交響楽団の演奏(CL23-X)も首席指揮者就任したばかりのルイージのプログラムだけに今後への期待も大いに持てた.


※3 ピアノ協奏曲第3番


A. ホロヴィッツ(Pf)のピアノ協奏曲第3番(C-27)は第1楽章で主旋律が気持ち良く表現されるところから、次第に葛藤のような強烈な旋律が現れ耽美に浸るだけの余裕がない.


B. 仙台フィルとの共演の若干20歳の藤田真央(CL20-Q)は、この曲の11回目の演奏とのことだが、そのテクニックと共に圧倒される表現力である.


C. デニス・マツーエフ(Pf)とリッカルド・シャイーイ指揮のルツェルン祝祭管弦楽団の演奏(CL4-J)も印象に残る名演.


※4 「パガニーニの主題による狂詩曲」


A. ヴァン・クライバーン演奏(R214)は、その豪快で華麗な演奏の中でも有名な第18変奏が例えようもなく美しく物悲しい情感を表現している.


B. アシュケナージのピアノによる同じ曲(C-26)は更に難易度をあげたようなテンポの速い緩急自在な演奏で、鍵盤上で転がるような音符の散りばめが見事と思う.それにしても3分強の第18変奏曲の美しいメロディーがいきなり現れてくることで、この曲は人口に膾炙(かいしゃ)される名曲になったと思うのは、偽わざる難曲への感想である.


※5、ピアノソナタ第2番


ホロヴィッツ演奏(C27)で聴く限り、不安の中に安らぎがあると聴こえると激しく怒り狂うような鍵盤を叩きつけるフレーズが来るなど、ソナタの常識からは外れた曲想が支配し続ける.


ラフマニノフは ヴィルトゥオーソ(伊 virtuoso)と呼ばれる.


ヴィルトゥオーソ(伊 virtuoso)とは、本来は道徳的な意味を持ち、有徳な人というほどの意味であったが、19世紀の半ば頃からは、優れた技巧を持つ音楽家、特に演奏家を指すようになり、巨匠とか名人とかいう意味.パガニーニやリスト、指揮者ではフルトヴェングラー、バイオリニストではフーベルマン、ピアニストではコルトーやケンプなどが最後のヴィルトゥオーソと言われる.


※6 前奏曲集 作品23 及び 32


スヴァトラフ・リヒテルのピアノ演奏(R412)で聴いたが、協奏曲とは異なり大変聞き易い馴染みの良いメロディーが続く、何度でも聴いてみたい曲と感じた.


今回の雑感記録に際して、改めて聴き直した作曲家の作品リストを参考までに下記の表にした.












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