top of page

5/22/2026 音楽家と作品への雑感「バッハ」

  • 執筆者の写真: Takeaki Iida
    Takeaki Iida
  • 5月23日
  • 読了時間: 5分

第18章 ヨハン・セバスチャン・バッハ

(Johann Sebastian Bach)    (1685年~1750年, 65歳没)



生地アイゼナッハ(Eisenach)はチューリンゲン(Thüringen)の森の西北端に位置する小さいながらも文化的な都市で、バッハは父親ヨハン・アンブロジウス・バッハ (Johann Ambrosius Bach) の第八子として生まれた.


バッハは200年間にわたり音楽家を輩出してきたバッハ一族の中の最大の音楽家.であり、代々、熱心なプロテスタント信者でもあった. 9歳で母を10歳で父を亡くしてからオールドルフ(Ohrdruf) のオルガン奏者であった長兄のヨハン・クリストフに引き取られ、ここで学校並びに音楽教育を施された。15歳(1700年)からはリューネブルク(Lüneburg)の移り、アルンシュタット(Arnstadt)、ミュールハウゼン(Mühlhausen)で教会オルガニストを務めた後、1708年ザクセン=ワイマール公(Sachsen-Weimar Highness)の宮廷オルガニストとなり、1714年アンハルト=ケーテン候(Anhalt-Köthen Graf)の合唱長及び宮廷楽長に迎えられ、1723年にはライプチッヒ (Leipzig) の聖トーマス教会 (St. Thomas Church) 付属音楽学校の合唱長、ライプチッヒの音楽監督になり、終生その地位にあった. 当代における最も優れた即興の大家のオルガニストとして知られ、ワイマール時代はオルガン曲、ケーテン時代は管弦楽曲・器楽曲、ライプチッヒ時代はカンタータを始めとする教会音楽の傑作を多く作曲した. プロテスタントの立場でドイツ・バロック音楽を集大成し、歌劇以外のあらゆる分野の作品を残した.


注)作品番号 BWV は Bach-Werke-Verzeichnis の略で、W.シュミーダー (Wolfgang Schmiede) の「バッハ作品主題目録」(1958年)の番号.


この度、視聴した演奏からバッハ音楽の印象を短く綴ってみたものは下記の通り.


クリスマス・オラトリオBWV248:  兎も角、久し振りに聴くと何とも心地よく美しい. 和声と楽器の音色の調和がカンタータという音楽の持つ、中世の旋律と和音の美しさに引き込まれる. 楽想は世俗カンタータからの転用が多いとのこと. 第1~3部はクリスマス用、第4部は新年用、第5部は新年の第1主日(The first Lord's day)用、第6部は公現祭(Epiphany又はThree Kings Day)用で6日間にわたって演奏されるものらしい.


カンタータ大全集(第1巻): 第1番BWV1, 第2番BWV2, 第3番BWV3, 第4番BWV4: 総指揮&通奏低音チェロ演奏N.アーノンクール (Nikolaus Harnoncourt) のウイーン少年合唱団 (Wiener Sängerknaben)&ウイーン・コンツエントウス・ムジクス (Concentus Musicus Wien) で聴いた. やはり心が落ち着き、何時までも聴いていたい気持ちになるのがバッハのカンタータだろうか. 特に、第30番&第147番をカール・リヒター指揮 (Karl Richter condudting) のミュンヘン・バッハ管弦楽団・合唱団 (Münchener Bach-Orchester ) で聴いたが、これは珠玉の和声と管弦楽器の音の融合で素晴らしいの一語に尽きる.


オルガン曲:


レコードの “Orgelmusik in Ottobeuren“ と題するレコードに収録されているトッカータとフーガ 二短調BWV565他を聴いた. 私がこのレコードを手に入れたのは1970年代にドイツに勤務していた時代に、度々訪れた南ドイツのミュンヘン南東100kmに位置する小さな村オットーボイレン (Ottobeuren) の修道院(写真上参照)を訪れた時のことだ。


 

ブランデンブルグ協奏曲第1番~第6番:バッハのケーテン時代の作品. コンチェルト・グロッソ(合奏協奏曲)に近い作風で、

バロックでは誠に独創的な協奏曲で聴きやすい名曲. イ・ムジチ (I Musici, 1965年録音) とニュー・フィルハーモニア管弦楽団 (The New Philharmonia Orchestra)、録画でヴァーツラフ・ルクス指揮 (Václav Luks conducting)のコレギウム1704 (Coregium1704) を聴いた. どちらも良いがイ・ムジチは聴きなれた安定感が大変心地よく、コレギウム1704はケーテン城 ”鏡の間” での演奏でバッハの時代の臨場感が溢れる名演奏だ.



バイオリン協奏曲第1番 BWV1041、第2番 BWV1042並びに2つのバイオリンのための協奏曲 BWV1043: 


この3曲は私の最も好きな思い出のあるクラシック音楽曲と言って過言ではない. 1963年当時に勤務していた会社から、海外研修員第1号に選ばれてドイツ(西ドイツ)のローテンブルグ (Rothenburg ob der Tauber) のゲーテ・インシュティツート (Goethe Institute) に3カ月間、日本人無しの生活をした当時に、私が音楽も好きだと知った友人から送られたレコードで、イゴール&デヴィッド・オイストラッフ親子(Igor und David Oistrach)のバイオリンが奏でるドイツ人も好きな音色の演奏で何十回となく聴いてきた。


オルガン小曲集(7枚組):名手ヘルムート・ヴァルハ(Helmut Walcha(Cembalo))  (演奏による全7枚を聴いたが、正直なところtoo muchだった。有名なトッカータとフーガ 二短調BWV.565は単独で良く聴く名曲。バッハは全生涯に亘ってオルガン演奏に携わってきたので、解説によると南イタリア・オランダ・フランスなどのオルガンの音色も楽しめるとのことだった.


ゴルドベルク変奏曲 BWV988: 弟子のゴルドベルクが仕えていた H.K.v.カイザーリング(Hermann Graf von Keyserlingk)の不

眠症を治すために作曲した. “ゴルドベルク”に生涯を掛けたグレン・グールド(Glenn Gould、1981年録音盤)の演奏は、この曲をペダリングも含めて、鍵盤楽器ピアノの持つ強弱、緩急などの機能の全てで表現する凄さが伝わってくる.



平均律クラヴィア曲集(48の曲集): ビューロー(Hans Guido Freiherr von Bülow)がベートーベンのピアノ・ソナタを新約聖書に、この曲を旧約聖書に例えたように、バッハがケーテン時代に入手した新しいチェンバロに刺激を受けて、長調と短調の全ての調性で作曲された前奏曲とフーガ集であり、ハ長調から半音ずつ上行するように24曲の前奏曲とフーガが並ぶ. 容易に汲み尽くせない深遠な内容は正に旧約聖書の例えに相応しい.


ミサ曲 ロ短調 BWV232: 全曲が完成したのは1749年と言われているが、既に書かれていたものを集めているため、実際には20年以上の年月を費やしているバッハ最晩年の大曲. グスタフ・レオンハルト指揮(Gustav Leonhardt(Cond))の演奏は、常に音楽がしなやかに流れ、楽器を含めて全てのパートが躍動感を失うことなく、心から声楽的に歌っている感じがする. 聖トマス教会での演奏で①指揮ヘルベルト・ブロムシュテット ライプチヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 (2017年) ②指揮鈴木雅明 合唱・管弦楽バッハ・コレギウム・ジャパンの2つと、NHKホールでの③指揮ニコラウス・アーノンクール 管弦楽ウイーン・コンチェントウス・ムジクスを聴いた.いずれも素晴らしい演奏だが①のブロムシュテット&ゲヴァントハウスの演奏が、合唱団の衣装の色合いと言いバッハの聖地に相応しい2度3度と聴きたくなる素晴らしい演奏だ.



無伴奏バイオリン・ソナタ&パルティータ: 五嶋みどりのケーテン城・鏡の間での演奏録音(2016年)が、このシリーズ全6曲の見事な再現になっていると聴きながら心が打たれる名曲・名演奏だ.


 

コメント


Post: Blog2 Post
bottom of page