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「」に対する検索結果が104件見つかりました

  • 4/16/2021 本のレビュー「銀河鉄道の父」門井慶喜著

    <本の内容> 教科書にも登場する「銀河鉄道の夜」「注文の多い料理店」などで有名な童話作家の宮沢賢治.その父親、宮沢政次郎 (1874年生まれ) の半生を描いた門井慶喜による作品. 岩手県で裕福な質屋を経営する政次郎.親子3代で暮らす一家の主として、威厳を保たねばならない.一方で息子の賢治は周囲の貧しい農民から吸い取った利益で恵まれた生活ができたという思いに苦しめられる.賢治は教師と作家の両立を選び、仏教や農村の生活改善に情熱を注ぐことで知られているが、学生時代は虚弱体質ながら人造宝石や飴工場経営など、あれこれと浮かぶ突拍子もない計画の資金を政次郎に頼る放蕩ぶりが原因で、一時は親子の関係が断絶したことも記されている.家族にまつわるエピソードとして、優秀だった娘が肺炎で死に至ったときを含め、政次郎は子供たちが病気になる度に自ら一晩中看病する様子も書かれている. <ブッククラブ・メンバーの感想> · 最近「親は子供の成長に口には出さないが一喜一憂している」というブログを読み、私の親もそうだったに違いないと、この本を読みながら、自分を振り返るきっかけにもなった.自分が親になることがなかったので、子供と共に成長するという機会がなかったけれど、すこし理解できた気がする.父親の威厳を保つために、本音が言えなかった宮沢賢治の父親のように、どこの国の家庭でも「父親の威厳」を保つために、父はアタフタできない様子には共感する. そして娘の臨終のときも、賢治に押されてしまい遺言が記せなかった場面を読み涙しながらも、滑稽でもあると感じた.そして、賢治の一貫性がない人生も意外であった.同じ岩手出身の石川啄木と混同し、清貧を絵にかいた様な人かと思っていたが、父親のお金でキャンディ工場や人工宝石などの夢の様なアイデアは、どこか童話につながったのかもしれない. · 宮沢政次郎の息子に対する深い愛情、そしてその父の視線でとらえた宮沢賢治の姿を描いたところが楽しく読めた.政次郎が思っていることを言わずに自分の胸の内にしまっている場面が何度もあったが、私の父は生前無口で、今思えば我父も「いっぱい言いたいことがあったのだろうなぁ」と回想している. · 読んだ後、心が暖かくなる気持ちがする本でとてもよかった.ブック・クラブでメンバーの一人が、「このお父さんに母性的なところを感じる」との感想が印象に残った. · 父親、政次郎の目線で描かれた宮沢賢治はとても面白かった! 読みはじめた時は「一体どこまでが本当の話なのか」気になっていたが、途中から気にならなくなるほどのめり込んで読んだ.宮沢賢治のドラ息子ぶりにはちょっとびっくりしたが、終盤でそれが変わってホッとした. https://www.youtube.com/watch?v=-xWqoxXF2GY https://www.youtube.com/watch?v=cZ3Nh6QhqAs

  • 4/16/2021 フィルム・レビュー「Normal People、普通の人たち」

    定格: R スター: デイジー・エドガー・ジョーンズ、ポール・メスカル 監督: レニー・アブラハムソンと、ティ・マクドナルド 脚本: サリー・ルーニー、アリス・バーチ サリー・ルーニーの小説に基づいた、このBBC / Huluミニ・シリーズは12本の30分のエピソードから成り立っている.物語はアイルランドの2人の高校生、マリアンヌとコネルのラブ・ストーリー.どちらも非常に明るい性格だが、性格は対照的.コネルは学校の成績はよく、才能あるアスリートであり、学校の人気者でもある.マリアンヌも非常に優秀な学生ではあるが、彼女の攻撃的な性格は、大人や学友と厳しく口論する傾向があり、この性格から、彼女は頻繁に仲間の学生から嫌がらせをくう. 彼らの性格の違いに加えて、2人は異なる生い立ち、経済的背景と母親を持っている.マリアンヌは裕福な家族の出身で、彼女の母親はめったに家にいない法廷弁護士.母親が家にいるときの、母と娘の関係は冷たく緊張している.コネルの母親は賢く、親切で、とても寛容.彼女はマリアンヌの家族のメイドとして働いている.それがきっかけで、コネルとマリアンヌはお互いを知るようになる.コネルは放課後毎日、マリアンヌの家に母親を迎えに行く.これにより、ふたりは学校外でお互いを知る機会を得る.すぐに、ふたりは親しくなり、恋人同士になる.ふたりともお互いを愛していることを世間に知られたくない.そしてその秘密が彼らの関係にプレッシャーをかけ、逢ったり、逢わなかったりの繰り返しが続く. 彼らは高校卒業後ダブリンにあるトリニティ・カレッジに通うことを決め、ふたりとも合格する.しかし、彼らの秘密の関係からくるプレッシャーにより高校卒業前に彼らは別れる.トリニティでの最初の大学生活の数年間、ふたりは決してお互いに近寄らなかった.ふたりとも新しいパートナーを見つけ、共通の友人の招待を受けて再会する日まで、それぞれの大学生活を楽しんでいた.最初のシーズン(12本の30分のエピソード)は、ふたりが再会し、お互いへの愛情とそれがもたらす新たな関係を再燃焼させるところで終わる. 「Normal People 普通の人たち」の続編シーズン2があるという話があるが、これを書いている時点では未定.リード女優と男優、両者とも素晴らしく、ストーリーに非常に説得力があり、私はこのシリーズ1を大変楽しんで観た. https://www.youtube.com/watch?v=x1JQuWxt3cE https://www.youtube.com/watch?v=eVXvBCY1f7g

  • 4/10/2021 アメリカ・アニメーションのゴールデン・エイジ、Looney Tunes

    1930年代後半から60年代頃までの黄金時代に制作されたLooney Tunesの作品をご覧になられたり、そうでなくともキャラクターに見覚えのある方は多いと思う. Looney Tunesのキャラクターや作品制作に関わった初期のチームメンバーは大変に冴えた、またエキセントリックとも言えるアイディアの持ち主の集まりで、中心人物であったディレクターのチャック・ジョーンズは芸術・音楽に精通していた. そのため、Looney Tunesの作品にはクラッシック音楽を扱った楽しい作品が数多くある. その中から3点ほど、抜粋場面をご紹介したい. Looney Tunesの代表作としておそらく一番有名なのは、ワーグナーの楽劇「ニーベルングの指環」を題材にした「What’s Opera Doc? (1957年)」ではないだろうか. https://www.youtube.com/watch?v=TJI_gygXsfs 私もこのメロディーが耳に入ってくると、決まってBugs Bunnyが頭に浮かんでしまう. 添付の映像は途中で切れているが、この後に続くBugs Bunnyのコンテンポラリー・バレエの動きも本当のバレリーナを見ているようで楽しい. 「Rabbit of Seville (1950年)」も有名で、こちらは言わずと知れたロッシーニの「セビリアの理髪師」が題材であり、特にこの軽快な音楽に乗ってBugs Bunnyが宿敵Elmer Fudd のつるつる頭をマッサージする様子はとてもコミカルだ. 最後は何故か二人があれよあれよという間に結婚して、モーツアルトの「フィガロの結婚」で終わるのも楽しい. https://www.youtube.com/watch?v=od4vxA-6DEs(頭マッサージのシーン) https://www.youtube.com/watch?v=iiYW2d7RWw4&t=10s(床屋及び結婚のシーン) パフォーマンスを見ていて一番楽しいと思うのは「Rhapsody Rabbit(1946年)」で、曲はリストのピアノ独奏曲「ハンガリー狂詩曲」. リスト自身がスーパースター・ピアニストでもあったので、彼のレパートリーは難曲が多いことで知られている.この最後のシーンの功名さ、愛らしさには毎回感心してしまう. https://www.youtube.com/watch?v=WqGEeymMzQM こちらにご紹介したのはほんの一部だけれど、いずれの作品も楽曲のムードとキャラクターの動きが実にうまくマッチしていて素晴らしい. Looney Tunesの漫画のユニークな点は、これらの作品が必ずしも子供をオーディエンスとして作られたものではなかったということで、なるほど、大人の私も大好きだ. また特筆したいのは声優のメル・ブランクの素晴らしさで、彼は(確か)Elmer Fuddを除く全てのキャラクターの声を作り上げ、一人で演じ分けていた. オペラシーンやTweety の歌からなども分かるように、ブランクは歌も達者だった. しかもただ歌うのではなく、それぞれのキャラクターの声で歌うというのは並大抵の技ではないだろう. 最後に、チャック・ジョーンズがキャラクターやストーリーを発展させる際念頭においていた基本的な理念を分かりやすく説明しているビデオがあったのでご紹介する. 彼が音楽・芸術に精通していたことからも分かるように、ジョーンズは「読書」を通じて知らないことを発見することの重要さを強調している. https://www.youtube.com/watch?v=kHpXle4NqWI&t=425s Looney Tunes、ご興味があったらぜひご鑑賞ください. クラッシック音楽だけでなく、ジャズを扱ったものにも三匹の子ブタなどを始めとして素晴らしい作品がたくさんあります.

  • 4/9/2021 デジタル・ステージ「バロックとそれを越えて」コンサート4月9日より開催

    アメリカの若いピアニスト、カレン・ハコビアンからコンサートお知らせのメールが届きました.ブログ「音楽と友と」の読者の皆さまに知っていただきたいと思いお送りします.数年前、カレンが何度か日本を訪れたとき、私のピアノでコンサートの前に練習するために彼を自宅に迎え、知り合ったといういきさつです.元子 https://www.youtube.com/watch?v=G-sRbTiJdi0 親愛なる友へ、 舞台芸術にとってこのような先の見えない困難な時期を経て、4月9日よりモニラ財団のデジタル・ステージにより第四シーズン「バロックとそれを越えて」("Baroque and Beyond")をストリーミング・チャンバー、ピアノ、オーケストラと多様なコンサートをお届けできることを嬉しく思います.このシーズンは、芸術監督であり指揮者である私カレン・ハコビアンが率いるペガサスの主要プレーヤー、ゲスト・アーティストは、2007年チャイコフスキー・コンクール金メダリストであるセルゲイ・アントノフ(チェロ)、国際的に高く評価されているピアニスト、ヴャチェス・ラフグリャズノフとアシヤ・コレパノワが熱演します.私たちはモニラ財団と協力して最高質のデジタル・プことを確信しています. 今シーズンの特徴は、世界中のどこからでもアクセスでき、チケットは9回のコンサートがわずか120ドルで、2022年12月31日まで制限なしでいつでも視聴できることです.シングルチケット(15ドル)ではその日のイベントのプレミアから始まるプログラムに2週間アクセスできます.詳細は、 http://www.monirafoundation.org/pegasus/ をご覧ください。 4月9日午後8時にキックオフされるプログラムは、ヴァイオリン、フルート、チェンバロの最も革新的なバロックの傑作がプリンシパルのエドソン・シェード(ヴァイオリン)、藤井香織(フルート)、創設者兼芸術監督のカレン・ハコビアン(チェンバロ)により演奏されます.詳細はこちらをご覧ください.皆さまのご理解とサポートをお待ちしています. https://www.youtube.com/watch?v=-u_NIfOxm-4 カレン・ハコビアン ピアニスト/作曲家/指揮者 芸術監督-ペガサス:オーケストラ デジタルシーズンについて、ペガサスの創設者であるカレン・ハコビアンとのインタビュー https://www.youtube.com/watch?v=-u_NIfOxm-4

  • 4/6/2021 本のレビュー「ペスト」アルベール・カミュ著

    〈作者と内容〉「ペスト」はフランス人作家アルベール・カミュの代表作. 1913年生まれ.29歳で「異邦人」を出版し、40代でノーベル文学賞受賞.「ペスト」は、カミュ自身が生まれた当時のフランス領アルジェリアが舞台.ある街がネズミからのペスト菌に侵されてしまう. 民衆が感染し、死亡していく中、そこに住む医師リウーや、神父パヌルーなど、立場が異なる人間の葛藤や争い、人間模様を描いた、1947年に出版された小説である. 主な登場人物: · リウー 医師(妻はパリで療養中) · タルー 彼の手帳がこの作品の鍵(リウーの医療活動を手伝う) · グラン 下級役人 · パヌルー 神父(人間の罪深さがペストを巻き起こしたと言う) · オトン 判事 · コタール 犯罪者 · リシャール 医師会長 · ランベール 新聞記者(フランスへの帰国を断念し医療活動を手伝う) <ブッククラブでの感想> (この本は2020年の4月の課題図書) コロナ禍の2020年、「私達の行く末がこの本に書いてあるのではないか. 人間の心情は人種を問わず同じだから」という期待があった. どの登場人物にも自分に重なる弱さを見つけたが、登場人物が医者、神父、記者など中年のおじさん(!?) ばかりで、硬いまま進んでいくので「まだ続くの?」と感じた部分もあった(女性は登場せず、恋愛なども無い). アルジェリアというイスラム教の土地柄、当時の伝染病禍においては特定された人が外出できたのかもしれない. とは言え、いくつもの層になっている様に感じる本でカミュ自身に興味が湧いた.サルトルと決別し、彼の主義主張を考えると、読後は(理解よりも)質問の方が多くなっていった.この本を若くして書いたカミュは、興味深くも謎めいた作家だと思う. 第二次大戦中、ドイツ占領下だったフランスのメタファーの意味もあるのではないか?政府や人々が尊厳を持って肉体的にも精神的にも苦境に立ち向かう状況に行きつくまでの心境は、戦禍もコロナ禍も似ている. ペストとコロナとは病気としては違うが、アンコントローラブルという意味では同じ.さすがノーベル賞作家の本であると思うのはトニ・モリスンと同様、作品に厚みがあり、描写が深く丁寧だと思った.と同時に、やはり翻訳本だと日本語が硬くてこなれていない感じもあった.登場人物はどの人にも味があり、私の現状はどちらかというとその他大勢という感じ. 個人的には自分でも少しは可能かなと思い、そうありたいと願う姿はグランだと思う.小説の書き出しを何度もやり直すのは笑ってしまうが、こういうことに執着するところは自分にも重なるところがある.リウーは魅力的だが、私にはこれほどの誠実さも反抗する気力も力もないと思う.どの人物も魅力的で面白かった.登場人物が男性ばかりだったのはちょっと残念だったが、それは時代背景なのかとも思った.同時にリウーの母親はマリア像として圧倒的な存在であることは確かだと思う.今回のコロナのニュージーランドの対応と、ドイツの対応を扱った、女性首相を中心にした本が出ると面白いと思う. 私自身は当初この本を手に取った時、藁をもつかむ思いだった.何か手掛かりを求めて、無知な自分と現実とのギャップを埋めようとしていたように思う.ただ、あれよという間に、感染の歴史やウィルス関連モノと併せて乱読状態に陥り、この本だけとりわけ「読みづらい」と認知するゆとりはなかったが、案外、希望や信頼がちりばめてあるし、人物像に心惹かれるものもあり、つい課題図書として薦めてしまった. 一度読んだだけでは作家の意図が理解できない、というのが読み終えた直後の感想であって、ノーベル賞作家だけに文章のひとつひとつが丁寧で深い意味が込められているように感じられた.今回はそれを理解しようとする時間に余裕がなかったのと、日本語訳がすんなりと入ってこなかったのが残念であった. https://www.dailymotion.com/video/x7ta435 https://www.dailymotion.com/video/x7taeu5 https://www.dailymotion.com/video/x7taewo https://www.dailymotion.com/video/x7taujc https://news.yahoo.co.jp/articles/584ad507c4c660b07626ced4ff8badf72e8abcf5

  • 4/5/2021 映画レビュー「ミナリ」(セリ)

    出演:スティーブン・ユン、イェリ・ハン、ユ・ジョン・ヨン、ウィル・パットン、アラン・キム、ノエル・ケイト・チョ 監督:リー・アイザック・チョン 脚本:リー・アイザック・チョン 定格:PG-13 リー・アイザック・チョンによるこの半自伝的映画は、韓国人の家族がアメリカでの生活に順応していく過程を描いた移民の物語で、家族がお互いへの愛情を確かめ合いながら人生の浮き沈みを乗り越えていく「人間ドラマ」でもある. 映画の焦点は、1980年代に、より豊かな生活を求めて母国韓国を後にし、カリフォルニアに移住するジェイコブとモニカという夫婦の物語.生まれたてのニワトリの雌鶏の識別を職業としながら、彼らは2人の子供を育てるが、物価の高いゴールデン・ステート(カリフォルニア)に住む余裕がないため、成功を夢にアーカンソーに引っ越す. 彼らが新しい家に到着したとき、モニカは、ジェイコブが農業をするという彼の夢を実現するために、命がけで節約したわずかの貯金を全て費やして、少しの土地を購入したことを知ってショックを受けた.その土地には壊れかけた古いトレーラーがあり、家族は農場を立ち上げるまで、チキン・セクサー(鶏の識別)の仕事を続けながらそのトレーラーで生活を始めなければならなかった. ジェイコブとモニカは日常の仕事の量に圧倒されて、まだ韓国に住んでいるモニカの母親を呼び寄せ、2人の子供達の面倒を見てもらう.スン・ジャ(ユ・ジョン・ヨンが祖母役を演じる)の登場により、状況は劇的に変化する.彼女は愛情深いが口汚い祖母である.若い孫デビッド(アラン・キム)と彼女の関係は面白く優しく描かれている.スン・ジャは義理の息子が知らないミナリ(セリ)という植物を母国から持ってきて、川のそばに植える.ミナリ(セリ)は東アジアで育つ植物で、パセリのような味で、サクサクした茎を持つ食用の植物.ミナリ(セリ)は豊富な水を必要とする.映画の終わりに、なぜこの映画にこの植物にちなんだ名前が付けられたのかがわかった.ミナリ(セリ)は「生きるために十分な水を与えられれば、逞しく生きていくこの勇敢でタフな家族」の象徴であったのだ. 「ミナリ」は、2020年のサンダンス映画祭での大賞を含むいくつかの賞を受賞し、2021年4月後半に決定される最優秀作品賞を含む6つのアカデミー賞にノミネートされている. https://eiga.com/movie/94385/ https://eiga.com/movie/94385/ https://eiga.com/movie/94385/ https://www.youtube.com/watch?v=KQ0gFidlro8

  • 3/28/2021 コロナ禍をよそに井の頭公園・多磨霊園 春爛漫

    Inokashira Park (井の頭恩賜公園, Inokashira Onshi Kōen) in Tokyo Inokashira Park (井の頭恩賜公園, Inokashira Onshi Kōen) in Tokyo Tama Cemetery (多磨霊園, Tama Reien) in Tokyo Tama Cemetery (多磨霊園, Tama Reien) in Tokyo

  • 3/28/2021 フィルム・レビュー 「“The Father” 父」

    主演:アンソニー・ホプキンス、オリビア・コールマン、ルーファス・シーウェル 定格:PG-13 監督:フローリアン・ゼレール 作家:クリストファー・ハンプトン(映画脚本)、フローリアン・ゼレール(演劇脚本) アンソニー・ホプキンスは認知症に苦しんでいる男性を演じており、オリビア・コールマンは悲痛感に溢れ、父親の看護をする娘を演じている.受賞歴のある同名のこのフランスの演劇は、映画の監督でもあるフローリアン・ゼレールによって映画化された. 確かに、認知症は、愛する人が加齢していく過程で起きる、多くの家族が直面する悲劇だ.しかし、「“The Father” 父」の面白いところは、一方的ではなく、この恐ろしい体験をしている「本人」と、看護をしている「家族」両者にとって、認知症がどれほど恐ろしい病気かを示しているところにある. 映画は、父親の視点と、父親が直面している同じ出来事を娘がどのように反応しているかを描いた、娘の視点とを、交互に切り替えなが進行する.この恐ろしい病気を患う「本人」とその介護をする「家族」の難しさを教える映画だと思う. ホプキンスとコールマンは両者とも、我々の時代の世界的に偉大な俳優であり、この悲劇的でありながら心に響く物語を非常に正当に上手く(うまく)演じている. その熱演が報われ、ホプキンスとコールマンは、監督フローリアン・ゼレール、映画「“The Father” 父」と共に、2021年のアカデミー賞にノミネートされている. アカデミー賞受賞に値する映画、役者、監督であると思う. https://www.youtube.com/watch?v=4TZb7YfK-JI

  • 3/27/2021 ノース・キャロライナ 待ちに待った春の訪れ!

    Such a beautiful season of hope!(美しい希望の季節の訪れです)

  • 3/25/2021 伊丹敬之 著「日本企業の復活力」を読んで

    10年前の東北大震災のあとの復興と日本人の協力・団結・忍耐・秩序に感心した外国の友人は一様に、日本人の「resilience」を称賛しました.弾力ある跳ね返す力、即ち復元力が素晴らしい (resilient) と言いました.さらに、火事場泥棒のような「vandalism」(ヴァンダリズム・破壊行為) が無い社会秩序が存在するのには感動を覚えるとまで言っていました. その我が国は、バブル崩壊後の失われた30年経った今日の活力と勢いの乏しさには第二の敗戦を経験しているかのようにさえ感じます.敗戦より始末が悪いのは、敗戦した自覚なく日々過ごしていることです.負けた認識がないので、resilience の発揮の仕様がありません.そして、坂をずるずると危険を感知しないまま転げ落ちているかのようです. コロナ禍終息後に訪れる「戦後」に我が国と国民は resilience たくましく挑戦して、復興・復活して行くのでしょうか? 日本人の美徳・勤勉・集団秩序などの長所が目覚ましい経済成長を可能にした要因だったのは間違いありません.長所が最大限活かせたのが第二次産業分野だったからです.所得倍増の結果、製造業は国際移転を余儀なくされ日本はもはや付加価値の高くない第二次産業を柱としては立脚できない経済基盤の時代にいます.第三次産業、情報ソフト産業、付加価値の高いニッチな産業が国を支えねばならない段階に来ています.競合相手は教育水準の高い先進国と昇龍の発展途上国です.政・官・民が一枚岩で挑戦せねば勝てる戦ではあり得ません.今後、国際化とIT化の波に益々飲み込まれていきます.Communication literacy と IT + Computer literacy の優劣が国の運命を決めかねない時代に突入しています.政・官・民、全てのレベルで日本は優等とはいえず、むしろ先進国の中では劣等化しつつあると言っても過言ではありません.下手をすると先進国の仲間から外されかねません.将来を見据えた長いスパンで教育を如何にするかは50年後、100年後の日本の命運を決めかねない大問題のひとつです.詰まるところ、人の問題です.その位の危機意識の下、敗戦から復活せんとする、産業・学術・教育面での気概・ヴィジョン・具体的戦略戦術が不可欠です. 伊丹敬之氏の視点と論点は全くご尤もな一各論で、賛同します.よく言われる、「Number One」よりむしろ「Only One」を目指せと.世界を席巻している GAFA は今でこそそれぞれの分野で Number One ですが、創業当時は Only One 的発想で成長したのではないでしょうか. 全体を包括する正しい建設的な総論の中にあって、幾多の魅力的して高付加価値を産む各論が整合してほしいものです. http://blog.livedoor.jp/kawazuisamu/archives/2021-01-24.html https://osaru-books.com/books/current-events/resurrection-power-of-japanese-companies/

  • 3/24/2021 スターバト・マーテル 「悲しみの聖母」

    4月4日にイースターを控え、今週日曜日に始まる聖週間.その間にスターバト・マーテルを耳にする機会がおありかもしれない. 悲しみの聖母 Sancta Mater Dolorosa (Our Lady of Sorrows) “スターバト・マーテル(ラテン語: Stabat Mater、「悲しみの聖母」「聖母哀傷」)は、13世紀のフランシスコ会で生まれたカトリック教会の聖歌のひとつである.中世の詩の中でも極めて心を打つもののひとつであり、わが子イエス・キリストが磔刑となった際、母マリアが受けた悲しみを思う内容となっている.中世以来、西洋音楽の多くの作曲家がこの詩に曲を付けている.” (Wikipediaより引用) 実にたくさんの作曲家のスターバト・マーテルがあり、その数には感心するばかりなのだが、特に有名なのはペルゴレージだろうか.当然ながら深い哀しみにあふれた曲で、こちらの (下記) 二つはお勧めしたい録音.いずれのアレンジも趣味がよく、二人の歌手だけとは信じられないほどのハーモニーの奥ゆき.またアンドレアス・ショルの音域と表現の豊かさには驚くものがある. https://www.youtube.com/watch?v=xROmr1s1ngs https://www.youtube.com/watch?v=BTHwodbnTrs&list=OLAK5uy_l8RgxVA0ByyRgGvnZrnipebQo7uEe1CBM アンドレアス・ショル カウンター・テナーのショルの歌声を初めて聞いた時、その限りない透明感に「天使の歌声というものがもしも存在するとしたら、こんな声なのではないだろうか」と感じたものだ.彼が歌うヴィヴァルディのスターバト・マーテルも素晴らしく、Lent中の心境に実にぴったりくる. https://www.youtube.com/watch?v=n71JvW4E9Xw 去年の今頃、いつも聴いているクラッシック音楽ラジオ局からショルの歌声がいきなり耳に飛び込んできた.不思議な美しいメロディー.一度も聴いたことのない曲で歌詞の感じから宗教音楽ということはわかったけれど時代はいかにも不明.けれども毎週日曜の夜、そのラジオ局は現代音楽をかけることが多いので、その曲もそうかと思って番組の終わりの曲の紹介を待っていたところ、Marco Rosanoという初めて耳にする現代作曲家のスターバト・マーテルだった.その曲はショルのために何と5年もかけて書かれたとのこと. https://www.youtube.com/watch?v=kj4vAzGFC7U 磔刑図 アンドレア・マンテーニャ(Andrea Mantegna, 1431年 - 1506年9月13日)1457-60 ルーヴル美術館 おたく極まりないけれど、その頃 “The Ultimate Stabat Mater Website”というすごいサイトも見つけた.お時間があればご参照ください. https://stabatmater.info/componist/rosano/ "Music is enough for a lifetime, but a lifetime is not enough for music." というラフマニノフの引用が強い実感を伴って心に浮かぶ.

  • 3/23/2021 本のレビュー「青い眼が欲しい」トニ・モリソン著

    〈作者と内容〉 ノーベル文学賞受賞作家、トニ・モリソンが書いた「青い眼が欲しい」は衝撃的だった.モリソンはアメリカの黒人女性についての物語が圧倒的だが、ブック・クラブで彼女の作品を読むのは初めて.「黒人少女達はこんなコンプレックスを今も持ち続けているのだろうか?」というクエスチョンを持ちながら読み進めた. 大恐慌時代のアメリカでクローディア(本の中では「私」)が語る、主人公ピコーラという黒人少女の話.小学生のピコーラは父親が刑務所に入ったことでクローディアの家族と一緒に住み始めるが、周囲の差別や家庭内暴力などで荒んだ環境は、自分の眼が青く容姿が可愛ければ生活が変わるに違いないと信じている.青い眼になるよう毎日祈り続け、一年経ってもその願いは叶わず、環境も変わらない.偽牧師のソープヘッドにも青い眼が欲しいと訴える.学校では白人の同級生は夢のような生活をしていることを想像し、裕福な黒人の同級生にも憧れる.望まない妊娠、差別など常に苦境におかれるピコーラ. (本の後書きには、この本も否定され続け、やっと25年後に出版された、とある) 〈ブッククラブでの感想〉 人種によって住む地区が明確に分かれているシカゴで学生時代を送った私は、地元のニュースで外見的なことは分かれど、内面的な誇り、劣等感、生活事情は実際に知り合いがいないと分からない.現在はウェブやソーシャル・ネットワーク等で知ることができるが、その深さと複雑さで、2~3日頭から離れない話もあった. 社会学で習った「劣悪な環境で育った場合、その環境から抜け出そうと高等教育を受けたり、活動を始める人はいるけれど、実際は周囲や家族の反対や、足の引っ張られ等により、その劣悪な環境にとどまる人が多い.特に黒人はその問題が深い」ということ.誰しもコンプレックスはあると思うが、読後もやはり「こんな幼くても社会が決めた「美」で自己否定し、アメリカ人でもコンプレックスと苦労の塊のような人が存在するとは!」というのが私の感想.幼少の頃から「青い眼」さえあれば自分の問題は解決する、と思わせたのは社会の強い風潮であり、幼児でも「白人は幸せな人たち」と感じていたのだろう.ピコーラに訪れるあらゆる不幸と不運(特に父親のこと)は、出たらめ霊媒師や差別主義者の白人店主とのやりとりの場面などで、内面と外見のコンプレックスがすべての行動と感情に出てくる.時には読み進めるのが辛い場面もある.ブック・クラブの課題図書にならなければ、この「読むべき本」は読破できなかったと思う.また、アメリカの黒人社会の深さを知らなかった時に読むとショックで眠れなかった気がする.時代は違うが、ミシェル・オバマの人生とも対照的で(どちらも人種を気にしながら通学する少女時代だったけれど)、苦労や努力が報われるかどうかで人生は両極端となる.また「自由」という定義の広さも、メンバーとの会話の中で考えさせられた. そして、メンバーの感想を一部抜粋すると、、、 「African Americanの少女の話は読んでいて胸が痛くなりますが、読書によってこういう気持ちにさせられるのはさすがだと思いました.」 「今月の本を日本語で読んで「この文章は英語で何と書いてあるのだろう?」と思うところがたくさんあり、時間がなくなり英語で読めなかったのが残念.Toni Morrisonのドキュメンタリー映画をご覧になったSさんが彼女の別の作品もぜひ読んでみたい、と言われていたのが納得いくほど彼女の作品は強烈で、同じ人種でないと理解できないのかもしれないが私もまた読んでみたい.」 「Bluest Eyesは、とても圧倒される本でした.そして私にはとても助けになる本でした.それにしても黒人の人たちがくぐり抜けてきた環境というのはなんと厳しいものなのでしょう、そして今でも.実は図書館でToni Morrison原作の"Beloved" の映画を借りて見始めたのですが、あまりにも暗くてそして複雑怪奇でギブ・アップしてしました。Wikiを読んでようやく意味はわかり始めましたがこれは"The Bluest Eye"の上をいく暗さです. 「Bluest Eyesに出会えて、読み通せて光栄でした.重い歴史事実をつきつけられ、作者の鋭い洞察と人間愛に圧倒され続けましたが、消化不良感も含め、皆さんと共有できてほっとしました.Toni Morrisonの生み出す文学、私もまた是非チャレンジしたいです.先ずはビデオ探してみます.」 https://www.youtube.com/watch?v=_8Zgu2hrs2k

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