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  • 5/24/2026 白寿(99歳)のテノール独唱会

    白寿(99歳)といえば、日々を無事に過ごしているだけでも稀な年齢です.余生の楽しみ方は人それぞれですが、私は会社員時代の知人である安藤勉さん(白寿)のテノール独唱会を聴きに、明石市の明石市立市民会館アワーズ大ホールへ出かけました. まず驚かされたのは、1268席という大きなホールにもかかわらず、ほぼ満席に近い観客が集まっていたこと.そして、あえてマイクを使わず、生の声だけで大ホールを歌い切った数々の歌曲です.プログラムをご覧いただければ分かるように、第1部は愛唱歌、山田耕筰、平井康三郎の作品、第2部は英米・ドイツ歌曲、イタリア歌曲、オペラ・アリアと、実にバラエティ豊かな構成で、聴衆を飽きさせない内容でした. 全プログラムを歌い終えた後のアンコールでもさらに3曲(「オー・ソレ・ミオ」「初恋」「浜辺の歌」)を歌い切り、なお余裕を感じさせる体力と気力には、私だけでなく会場を埋め尽くした聴衆全員が元気をもらって帰路についたのではないかと思います.私が特に心惹かれたのはイタリア歌曲のパートでした.数年前、イタリアへ2週間の旅行ツアーに出かけた際、ナポリでのディナーでイタリア人カルテットが2時間余りナポリ民謡を歌い続けてくれた情景がふと蘇りました. 安藤勉さんは、話す地声はバリトン〜バスの音域ですが、60歳代から声楽に目覚め、講師の指導を受けてこられたため、テノールとしての音域・音程も非常に確かなものに感じられ、立派な独唱会だったと思います.あえて独断と偏見で申し上げれば、さすがに会場が広すぎて、少し声量が届きにくい場面もあったのではないかと感じました.むしろ、マイクを少し上手に使って声を届けやすくするか、もう少し小規模の会場の方が、安藤さんの声量がより生きるのではないかと、ふと思った次第です.ただし、これは今回の独唱会の素晴らしさとは全く関係のないことで、次回(満100歳の百寿?)に企画される際の参考程度の感想にすぎません. また、安藤勉さんは水彩画にも造詣が深く、プログラム表紙の絵や、今回ステージ両脇に飾られていた100号を超えると思われる大作も、すべてご本人の作品です. なお、安藤勉さんと私は元の会社時代に知り合った仲ですが、同じ事業部に所属したことはなく、私がドイツおよびニューヨークに駐在していた頃、出張で来られた安藤さんを何度か仕事でアテンドさせていただいたご縁による知人です. 安藤勉さんと筆者

  • 5/22/2026 音楽家と作品への雑感「バッハ」

    第18章 ヨハン・セバスチャン・バッハ (Johann Sebastian Bach) (1685年~1750年, 65歳没) 生地アイゼナッハ(Eisenach)はチューリンゲン(Thüringen)の森の西北端に位置する小さいながらも文化的な都市で、バッハは父親ヨハン・アンブロジウス・バッハ (Johann Ambrosius Bach) の第八子として生まれた. バッハは200年間にわたり音楽家を輩出してきたバッハ一族の中の最大の音楽家.であり、代々、熱心なプロテスタント信者でもあった. 9歳で母を10歳で父を亡くしてからオールドルフ(Ohrdruf) のオルガン奏者であった長兄のヨハン・クリストフに引き取られ、ここで学校並びに音楽教育を施された。15歳(1700年)からはリューネブルク(Lüneburg)の移り、アルンシュタット(Arnstadt)、ミュールハウゼン(Mühlhausen)で教会オルガニストを務めた後、1708年ザクセン=ワイマール公(Sachsen-Weimar Highness)の宮廷オルガニストとなり、1714年アンハルト=ケーテン候(Anhalt-Köthen Graf)の合唱長及び宮廷楽長に迎えられ、1723年にはライプチッヒ (Leipzig) の聖トーマス教会 (St. Thomas Church) 付属音楽学校の合唱長、ライプチッヒの音楽監督になり、終生その地位にあった. 当代における最も優れた即興の大家のオルガニストとして知られ、ワイマール時代はオルガン曲、ケーテン時代は管弦楽曲・器楽曲、ライプチッヒ時代はカンタータを始めとする教会音楽の傑作を多く作曲した. プロテスタントの立場でドイツ・バロック音楽を集大成し、歌劇以外のあらゆる分野の作品を残した. 注)作品番号 BWV は Bach-Werke-Verzeichnis の略で、W.シュミーダー (Wolfgang Schmiede) の「バッハ作品主題目録」(1958年)の番号. この度、視聴した演奏からバッハ音楽の印象を短く綴ってみたものは下記の通り. クリスマス・オラトリオBWV248: 兎も角、久し振りに聴くと何とも心地よく美しい. 和声と楽器の音色の調和がカンタータという音楽の持つ、中世の旋律と和音の美しさに引き込まれる. 楽想は世俗カンタータからの転用が多いとのこと. 第1~3部はクリスマス用、第4部は新年用、第5部は新年の第1主日(The first Lord's day)用、第6部は公現祭(Epiphany又はThree Kings Day)用で6日間にわたって演奏されるものらしい. カンタータ大全集(第1巻): 第1番BWV1, 第2番BWV2, 第3番BWV3, 第4番BWV4: 総指揮&通奏低音チェロ演奏N.アーノンクール (Nikolaus Harnoncourt) のウイーン少年合唱団 (Wiener Sängerknaben)&ウイーン・コンツエントウス・ムジクス (Concentus Musicus Wien) で聴いた. やはり心が落ち着き、何時までも聴いていたい気持ちになるのがバッハのカンタータだろうか. 特に、第30番&第147番をカール・リヒター指揮 (Karl Richter condudting) のミュンヘン・バッハ管弦楽団・合唱団 (Münchener Bach-Orchester ) で聴いたが、これは珠玉の和声と管弦楽器の音の融合で素晴らしいの一語に尽きる. オルガン曲: レコードの “Orgelmusik in Ottobeuren“ と題するレコードに収録されているトッカータとフーガ 二短調BWV565他を聴いた. 私がこのレコードを手に入れたのは1970年代にドイツに勤務していた時代に、度々訪れた南ドイツのミュンヘン南東100kmに位置する小さな村オットーボイレン (Ottobeuren) の修道院(写真上参照)を訪れた時のことだ。   ブランデンブルグ協奏曲第1番~第6番:バッハのケーテン時代の作品. コンチェルト・グロッソ(合奏協奏曲)に近い作風で、 バロックでは誠に独創的な協奏曲で聴きやすい名曲. イ・ムジチ (I Musici, 1965年録音) とニュー・フィルハーモニア管弦楽団 (The New Philharmonia Orchestra)、録画でヴァーツラフ・ルクス指揮 (Václav Luks conducting)のコレギウム1704 (Coregium1704) を聴いた. どちらも良いがイ・ムジチは聴きなれた安定感が大変心地よく、コレギウム1704はケーテン城 ”鏡の間” での演奏でバッハの時代の臨場感が溢れる名演奏だ. バイオリン協奏曲第1番 BWV1041、第2番 BWV1042並びに2つのバイオリンのための協奏曲 BWV1043: この3曲は私の最も好きな思い出のあるクラシック音楽曲と言って過言ではない. 1963年当時に勤務していた会社から、海外研修員第1号に選ばれてドイツ(西ドイツ)のローテンブルグ (Rothenburg ob der Tauber) のゲーテ・インシュティツート (Goethe Institute) に3カ月間、日本人無しの生活をした当時に、私が音楽も好きだと知った友人から送られたレコードで、イゴール&デヴィッド・オイストラッフ親子(Igor und David Oistrach)のバイオリンが奏でるドイツ人も好きな音色の演奏で何十回となく聴いてきた。 オルガン小曲集(7枚組):名手ヘルムート・ヴァルハ(Helmut Walcha(Cembalo)) (演奏による全7枚を聴いたが、正直なところtoo muchだった。有名なトッカータとフーガ 二短調BWV.565は単独で良く聴く名曲。バッハは全生涯に亘ってオルガン演奏に携わってきたので、解説によると南イタリア・オランダ・フランスなどのオルガンの音色も楽しめるとのことだった. ゴルドベルク変奏曲 BWV988: 弟子のゴルドベルクが仕えていた H.K.v.カイザーリング(Hermann Graf von Keyserlingk)の不 眠症を治すために作曲した. “ゴルドベルク”に生涯を掛けたグレン・グールド(Glenn Gould、1981年録音盤)の演奏は、この曲をペダリングも含めて、鍵盤楽器ピアノの持つ強弱、緩急などの機能の全てで表現する凄さが伝わってくる. 平均律クラヴィア曲集(48の曲集): ビューロー(Hans Guido Freiherr von Bülow)がベートーベンのピアノ・ソナタを新約聖書に、この曲を旧約聖書に例えたように、バッハがケーテン時代に入手した新しいチェンバロに刺激を受けて、長調と短調の全ての調性で作曲された前奏曲とフーガ集であり、ハ長調から半音ずつ上行するように24曲の前奏曲とフーガが並ぶ. 容易に汲み尽くせない深遠な内容は正に旧約聖書の例えに相応しい. ミサ曲 ロ短調 BWV232: 全曲が完成したのは1749年と言われているが、既に書かれていたものを集めているため、実際には20年以上の年月を費やしているバッハ最晩年の大曲. グスタフ・レオンハルト指揮(Gustav Leonhardt(Cond))の演奏は、常に音楽がしなやかに流れ、楽器を含めて全てのパートが躍動感を失うことなく、心から声楽的に歌っている感じがする. 聖トマス教会での演奏で①指揮ヘルベルト・ブロムシュテット ライプチヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 (2017年) ②指揮鈴木雅明 合唱・管弦楽バッハ・コレギウム・ジャパンの2つと、NHKホールでの③指揮ニコラウス・アーノンクール 管弦楽ウイーン・コンチェントウス・ムジクスを聴いた.いずれも素晴らしい演奏だが①のブロムシュテット&ゲヴァントハウスの演奏が、合唱団の衣装の色合いと言いバッハの聖地に相応しい2度3度と聴きたくなる素晴らしい演奏だ. 無伴奏バイオリン・ソナタ&パルティータ: 五嶋みどりのケーテン城・鏡の間での演奏録音(2016年)が、このシリーズ全6曲の見事な再現になっていると聴きながら心が打たれる名曲・名演奏だ.

  • 12/27/2025 年末に想うこと

    ブログ更新について リオンのレストランで(2025年6月) 今年こそはブログに定期的に私信を書こうと考えていましたが、気づけば一年が過ぎてしまいました.長い間ご無沙汰してしまった方々には、このブログを通じて元気に過ごしていることをお伝えいたします.私の生活は大きく変わることなく、日々の小さな出来事や思い出を大切にしながら過ごしていますが、皆さまにご報告する機会がなかなか持てませんでした.2026年は原点に立ち返り、もう少し頻繁に更新し、皆さまと気持ちを共有できる場を増やしていきたいと考えています.皆さまの記事や写真のご投稿も楽しみにしておりますので、どうぞよろしくお願いいたします. 家族・友人との別れとその想い ある年齢を迎えると、友人や知人が亡くなっていく寂しさを年々感じるものだと聞いて育ちました.私もその年齢に差しかかり、昨年から今年にかけて兄、従妹、そしてこちらでの友人が相次いでこの世を去り、心に深い悲しみを覚えています.特に兄の死は大きな衝撃であり、幼少期の思い出が蘇るたびに、彼がもういない現実を受け入れるのが難しくなります.従妹(100歳まで健在でした)もまた、幼い頃からの思い出が詰まった大切な存在であり、彼女の想い出は今でも心の中で輝いています.友人たちとのアンサンブルやコロナ期の食事など、楽しい瞬間や支え合った日々を思い返し、彼らの不在が私の生活に与えた影響を日々痛感しています. 社会状況と世代間の変化 今年は世界的に政治や経済、生活の安全性がより不安定になっています.今後10年で個人がどのように政治に関わって行くかが世の中の変化への重要なポイントになるでしょう.日本では新政権が誕生し、幸い若者の支持率が高いことに注目が集まっています.また、報道は新聞や雑誌などの旧来型からウェブ中心の新しいメディアへと移行しています.若者層は主にウェブから広範囲に情報を得ており、新聞や雑誌離れが進み、その違いが世代ごとの意見の違いにもつながっていると感じます. 人生への想いと新たな目標 家族・友人との別れを通じて、人生の儚さや大切さについて改めて考えるようになりました.人生100年と言われるこの時代ですが、ある意味ではとても短いものです.愛する人々との関係を深め、感謝の気持ちを忘れずに持ち続けることが、私にとって新たな目標となっています.来年もアンサンブルを続け、旅行を続け、ウォーキングを続け、読書を続け、料理を続けるなど、今までどおりの生活がなるべく長く続けられることを願っています.肺疾患も新薬に変えてからは、適度な運動の効果もあり徐々に体力が向上しています. 音楽と私の生活 音楽は私の生活において欠かせない要素です.日々のストレスを和らげ、心を豊かにしてくれます.特にクラシック音楽は、私にとって特別な存在です.音楽を通じて、さまざまな感情を体験し、他者とのつながりを感じることができます.アンサンブルでの演奏は、仲間との絆を深める素晴らしい機会です.音楽を愛する皆さんと共に、さらなる成長を目指していきたいと思っています. 来年も皆さまにとって健康で多幸な一年になることを心から願っております.近況お知らせください. APA中央線コンサート          (2025年3月)

  • 3/19/2026 音楽と友情

    多忙な日常の中で暮らしていると、音楽は私たち音楽愛好家にとって欠かせない存在になります.特にクラシック音楽は、演奏人口が減っていると言われる中でも、その深い芸術性と豊かな感性によって心を潤し、繊細な感情を揺さぶってくれます. 音楽の魅力は、個人の感性を刺激するだけでなく、友情を育む力を持っていることをご存じでしょうか.私自身、演奏を通じて多くの友人と出会い、絆を深めてきました.また、老後施設での演奏やアマチュア仲間とのリサイタル、発表会を通じて、演奏者同士だけでなく、聴いてくださる方々との間にも温かい交流が生まれます.音楽の友は、単なる趣味の仲間ではなく、人生を共に歩むパートナーと言ってもよい存在です. 音楽が友情を深める理由 音楽が友情を育む力は、単なる「共通の趣味」を超えています.音楽を一緒に聴いたり演奏したりすることで共鳴し、自然と距離が縮まります.また、音楽は言葉を超えたコミュニケーション手段でもあり、演奏を通じて互いの感性や価値観を理解し合うこともできます. もちろん、価値観が合わない場合には反対の結果を生むこともあり、アンサンブルがうまくいかないこともあります.しかし、クラシック音楽のように多層的で奥深い作品群は、共に学び語り合うことで友情を育む大きな可能性を秘めています. 音楽が生む友情の具体例 • コンサートや演奏会 一緒にコンサートへ行くことで感動を共有でき、自然に会話が生まれます.演奏後の感想交換は、相手の感受性を知る良い機会です. • リハーサルを重ねるパートナーシップ 練習や音楽の解釈の話し合いを通じて励まし合い、困難を乗り越える中で信頼関係が深まります. • レパートリーやおすすめ曲の共有 好きな曲を紹介し合うことで新しい発見があり、会話も弾みます.趣味が似ていれば親近感が生まれますが、反対の場合ももちろんあります. 音楽の友とは 音楽の友とは、音楽を通じて互いの感性や価値観を尊重し合い、支え合う関係です. • 共感と理解の共有 音楽の感動や解釈を分かち合うことで深い共感が生まれます. • 学びのパートナー 技術や知識を共有し、互いの成長を促します. • 精神的な支え 演奏活動での困難を共に乗り越えることで絆が強まります. • 文化的な交流 音楽を通じて異なる文化や歴史に触れ、視野が広がります. 音楽が友情を深める心理的メカニズム • 共感の促進 音楽は感情を共有しやすくし、相手の気持ちを理解しやすくします. • オキシトシンの分泌 一緒に音楽を楽しむことで幸福感や信頼感が高まります. • 非言語的コミュニケーション 言葉を超えた感情のやり取りが可能になります. • 共同体感覚の強化 音楽を通じて一体感が生まれ、結束が深まります. 友情を育むためにできること • 共通の音楽体験を増やす 音楽を通じての共通体験は、友情を育む重要な要素です. • 音楽について語り合う時間を持つ 意見交換をすることで、互いの理解が深まります. • 一緒に学び、練習する 共に成長することで、絆が強まります. • プレイリストを交換する 新しい音楽を知ることで会話が弾みます. • 感謝の気持ちを伝える 小さな感謝の言葉が、友情を深めるきっかけになります. 音楽と友情 音楽は時代や文化を超えて人々を結びつける力を持っています.特にクラシック音楽のような深い芸術性を持つジャンルは、友情を育む豊かな土壌となります.オンラインでの音楽共有やリモート演奏が広がる現代では、距離を超えた交流も可能になりました. 私自身も music and friends のコミュニティを通じて、多くの素晴らしい出会いを経験しています.音楽は人と人をつなぐ架け橋です.これからも音楽を通じて友情の輪を広げていきたいと思います. 音楽を通じて得られる友情は、人生の宝物です.皆さんもぜひ、音楽の力で人との絆を深めてみてください. 音楽の力を信じて 音楽は私たちの心に深く響きます.その力を信じて、これからも音楽を楽しみ、友情を育んでいきたいと思います.音楽がもたらす感動や喜びは、私たちの人生を豊かにしてくれるのです. 音楽の中での出会いや経験は、私たちの人生に彩りを加えます.その一つ一つが、かけがえのない思い出となるでしょう.音楽を通じて、私たちは互いに支え合い、成長し続けることができるのです. 音楽の力を信じて、これからも新たな友情を育んでいきましょう.音楽は私たちの心をつなぐ素晴らしい手段です.

  • 2/22/2026 ミラノ・コルチナ五輪

    こんにちはー ミラノ・コルチナ五輪も、昨夜の女子スピードスケート1500mでの高木美帆選手の残念な結果こそありましたが、総じてこの2週間、数々のドラマと感動をありがとうという気持ちでいっぱいです。メダルを手にした選手にも、届かなかった選手にも、心から拍手を送りたいと思います. メダルの色は“時の運”の差にすぎません. ノルディック種目のノルウェーのクレボ選手のような怪物的な選手は金が当然のように思えますが、彼には天の時・地の利・時の運の三拍子が揃っており、他の選手たちは“時の運”によって結果が左右されるほど実力伯仲だったと感じました. 私は冬季五輪ではアルペンスキー、ジャンプ、フィギュアスケートを昔から好んで見ていますが、海外勤務時代には、オリンピックやヨーロッパ・ジャンプ週間で使われたジャンプ台を、冬ではなく夏に訪ねていました. ジャンプ台のスタート地点まで登り、着地点側の景色を見晴らすのが好きで、いくつかの場所を巡りました. その中で特に印象に残っているのは次の場所です. • ホルメンコーレン(Holmenkollen) :ノルウェー・オスロ郊外. 1952年五輪で使用され、ノルディックの聖地といわれるジャンプ台. • インスブルック(Innsbruck) :オーストリア. 1964年・1976年冬季五輪の開催地. • キッツビュール(Kitzbühel) :オーストリア・チロル地方のジャンプ台. • ガルミッシュ=パルテンキルヘン(Garmisch-Partenkirchen) :ドイツ南部、オーストリア国境にある1936年冬季五輪の開催地. • オーベルストドルフ(Oberstdorf) :ドイツ南部。ヨーロッパ・ジャンプ週間で必ず使われるジャンプ台. • レイク・プラシド(Lake Placid) :アメリカ・ニューヨーク州最東部. 1980年冬季五輪のジャンプ台. 私がニューヨークに着任した1980年3月には、ちょうど1〜2か月前に冬季五輪が終わったばかりでした. ホルメンコーレンには1964年に初めて行きましたが、写真がすぐに見つからないので今回は割愛します. そのほかの場所については、訪れた記念に集めていたワッペン(ドイツ語読みではヴァッペン=Wappen、英語ではパッチ=Patch)の写真を添付します. ご笑覧ください.

  • 1/10/2026 安藤勉氏 ソロ・テノール・リサイタル ― 99歳、今なお健在

    扨て、私が勤務していた会社のOB会には、今年で白寿(数え年99歳)を迎えられる 安藤 勉さん という方がいらっしゃいます. 数年に一度、趣味として独唱会を開かれており、今年は白寿記念のコンサートを開催されるとの案内状が届きました.こんなにお元気な高齢者もいらっしゃるのだと、改めて驚かされます. 私は出身事業部こそ異なりますが、ハンブルク時代やニューヨーク時代に何度かアテンドをさせていただいたご縁があります. 絵を描くこともお好きで、多才な方です. これまでは500〜600人規模の中ホールでの開催が多かったのですが、昨年10月のOB会でお会いした際には、今回は 1,300人収容の大ホール を借りる予定だとお話しされていました. 毎回マイクなしで歌われるのが恒例ですが、今回はどうされるのでしょうか. 白寿とは思えないほどのエネルギーには、ただただ感服するばかりです. そういえば一昨年、友人のお姉さま(当時99歳)が出版された『赤星家のゴルフDNA』にも驚かされたことを思い出しました. 独唱会にご興味のある方がいらっしゃいましたら、お知らせください。

  • 08/02/2025 夏の発表会でキャッツから「メモリー」を久し振りに吹きました

    近年、親しい友人や知人を亡くし87歳になった今でも、メールのやり取りをしている人たちから連絡がないと不安に感じることがあります. サックスは最早、上達は望めないものの、今も演奏を続けています.8月にはピアノ教室のサマーコンサートで「キャッツ」より「メモリー」を演奏しました.久しぶりのコンサートでの演奏でした 、 https://youtu.be/nsswJPF3jGc?si=nvdxrhv7rl8WYC2F サクソフォン・サマー・コンサート — CATS より「メモリー」、2025年夏 家族が私の80歳の誕生日を祝ってくれたとき、娘がこの写真を撮るためにスタジオセッションを手配してくれました 2019年9月、東京市ヶ谷のホテルでソロ リサイタルを開催 皆さまのご健勝を心から祈ります.

  • 12/12/2025 音楽家と作品への雑感 「ベートーベン」

    第17章 ルートヴィッヒ・V・ベートべン (Ludwig van Beethoven)    (1770年~1827年、56歳没 )           祖父は現ベルギー出身のバス歌手で知られ、ボンに移住してきてケルン選帝侯の宮廷礼拝堂の歌手から楽長を務めた.父も同じ宮廷の歌手で、息子を大音楽家に仕立てようと幼少から過酷なピアノ練習を強いた. ルートヴィッヒは 16歳で一度ウイーンを訪れモーツアルトに会う.その後のボンでの生活はブロイニング家(Breuning Family)の知遇を受け、ボン大学の聴講性になるが、折から起こったフランス革命の息吹を感じつつ自由へのあこがれを心に刻んだとされる.以前にイギリスで知ったハイドンを尋ねて20歳でウイーンに出向き、その後はボンへは 一 度も戻ることが無かった. 初期(1782~1803)の作風は、古典派の影響を強く留めつつ個性的、中期(1803~15)に作風は大きく転換し、大胆な技法による情熱的で力強い表現が加わり、それが次のロマン派音楽への先駆けへと繋がる.時代的にはナポレオンのヨーロッパ制覇の時期であり、神聖ローマ帝国の解体に象徴される封建的旧体制の崩壊と自由主義台頭の時期と符合している.後期(1815~27)は、ナポレオンの没落とウイーン反動体制の時代に相当し、作風は自己への沈潜と、より深められた人類的理想への希求を秘めた音楽的極致に到達した. ベートーベンは28歳(1799年)頃に、ジュリエッタ(Giulietta Guicciardi)、テレーゼ(Therese Malfatti)という2人の女性に恋をし、テレーゼとは婚約をするも不幸にも解消となり一生独身の身となった.その頃から難聴が顕著となり、遂に31歳(1802年)の時に二人の弟と一人の女性(テレーゼ)宛の遺書、所謂「ハイリゲンシュタットの遺書」( Heiligenstädter Testament )を書く.しかし耳の不治の病を抱えつつ、強い精神力で創作を続け、輝かしい名曲のバイオリン・ソナタ「クロイツエル」(1803年)、交響曲第3番「英雄」(1804年)など、第2の創作期に入り、最大最高の第9交響曲「合唱付」(1824年)に辿り着く. この度、視聴した演奏からベートーベン音楽の印象を短く綴ってみたものは下記の通り. ロマンス:   第1番と第2番をハイフェッツの演奏で聴いたが第2番は幼い頃から折に触れて聴いた美しいメロディが心に響いた. ピアノ・ソナタ : 第15番「田園」、第17番「テンペスト」、第21番「ワルトシュタイン」、第28番、第29番「ハンマークラヴィーア」をポリーニの演奏で聴いたが、第15番は古典的・牧歌的、第21番は美しい旋律、第29番は超技巧を伴う大曲で改めて感心した.第8番「悲愴」、第14番「月光」、第23番「熱情」はウイルヘルム・バックハウスの演奏で聴いたが、いずれも名曲・名演奏で、もっと頻繁に聴き直したい.他にも、今回聴いたピアノ・ソナタは第1番、第3、第6、第8「悲愴」、第9、第12「葬送」、第14「月光」、第15「田園」、第16、第17「テンペスト」、第18、第21「ワルトシュタイン」、第23「熱情」、第24、第26「告別」、第29「ハンマークラヴィーア」、第30、第31、第32番の多くを、複数の演奏者で聴いた.副題の付いている曲はいずれも名曲で印象に残るが晩年の名曲と言われる第30番~第32番は、正直なところ、いつ聴いても心地よいと言った意味での名曲とは感じない.人生とは何かを探す時に聴けば別の聞こえ方をするのだろうが. ピアノ協奏曲 : 第4番並びに第5番「皇帝」はバレンボイム(Pf)/ オットー・クレンペラー指揮のニューフィル・ハーモニー管弦楽団盤、クリスティアン・ツイマーマン(pf)/ L.バーンスタイン指揮 ウイーン・フィルの演奏は素晴らしい名曲、名演奏で何度も聴きたくなった. ピアノ三重奏曲 : 第7番「大公」を3つのトリオの演奏で聴いた. バイオリン・ソナタ : 第5番「春」と第9番「クロイツエル」をズッカーマン&バレンボイム及びオイストラッフ&オボーリンで聴いた.阪神大震災の被災時のレコード傷と録音状態を除けば名曲間違いなし. チェロ・ソナタ : 第1番~第5番をロストロポーヴィチ(Vc) / リヒテル(Pf)で聴いた.いずれも名曲だが第3番が一般には特に評価が高い名曲. ピアノ、ヴァイオリンとチェロのための三重協奏曲 : オイストラッフ(Vn) / ロストロポーヴィッチ(Vc)/ リヒター(Pf)とカラヤン指揮のベルリンフィルで聴いた.他にも、 ピンカス ・ズーカーマン (Vn) 、アマンダ ・フォーサイス (Vc)、 I.ブロンソン(Pf)、アンネ・ゾフィー・ムター (Vn)、ヨーヨー・マー(Vc)、 ダニエル・バレンボイム(Pf、指揮)を聴いた.交響曲以上に壮大な協奏曲だが名手3人と巨匠が揃っての演奏は、日常的に聴ける曲とは思えない重たさを感じた. 弦楽四重奏曲 : 第1番、第2、第7&第9、「ラズモフスキー」、第11、第13、第16番と聴いた.ブタペスト弦楽四重奏団演奏の弦楽四重奏曲第1番より第2番の方が聴きやすい. 交響曲 : 第1番から第9番「合唱付」まで多くの楽団の演奏を聴いたが、特に印象に残った演奏は次の通り. 第3番「英雄」:F.ヴェングラー指揮 ウイーン・フィル、K.マケラ指揮 コンセルト・ヘボウ 第4番:C.クライバー指揮 コンセルト・ヘボウ  第5番「運命」:D.バレンボイム指揮 ベルリン・フィル、H.カラヤン指揮 ベルリン・フィル  第6番「田園」:F.ヴェングラー指揮 ウイーン・フィル、S.ラトル指揮 ベルリン・フィル、K.マケラ指揮 コンセルト・へボウ、H.カラヤン指揮 ベルリン・フィル  第7番:C.クライバー指揮 コンセルト・ヘボウ、 H.カラヤン指揮 ベルリン・フィル  第8番:H.カラヤン指揮 ベルリン・フィル  第9番「合唱付」:H.カラヤン指揮 ベルリン・フィル、L.バーンスタイン指揮 ウイーン・フィル. 直、交響曲第5番「運命」はアルトウール・ニキッシ指揮のベルリン・フィルで、第7番はクナッパーブッシュ指揮のベルリン国立歌劇場管弦楽団の演奏で聴いたが、いずれも録音状態が古く、別の演奏で聴き直した. 時々、クラシック通が指揮者の名前で古い演奏を最高だとしゃべる輩がいるが、私は古い録音で最高の演奏と思うものは殆どない.演奏テクニック・会場の雰囲気・録音・録画状態が揃っての名演奏だと思う. ミサ・ソレムニス(荘厳ミサ曲) : ベートーベンの情熱がそのまま作品に表現されていて、圧倒的な迫力を感じる.教会音楽に留まらず人類に普遍的な価値を持つような傑作と思う.オットー・クレンペラー指揮/ニューフィルハーモニア管弦楽団の演奏がスケールの大きい堂々としたベートーベンの意思を伝えるかのような名演奏である.又、ファビオ・ルイージ指揮 ドレスデン国立歌劇場管弦楽団のフラウエン教会での演奏は本場の雰囲気を味わえる名演奏. 歌劇「フィデリオ」 : ミラノ・スカラ座、ザルツブルグ祝祭劇場、アン・デア・ウイーン劇場、ロイヤル・オペラハウスの4公演を鑑賞したが、舞台装置・衣装など合わせてロイヤル・オペラハウスの演出が一番馴染めた.   今回の雑感記録に際して、改めて聴き直した作曲家の作品リストをご参考までに下記の表にした.

  • 5/19/2025  3月14日(金)APA国際室内音楽祭、武蔵野市民文化会館小ホールでシューベルト、Piano Trio op99を弾く

    3月14日(金)第7回APA国際室内音楽祭が武蔵野市民文化会館小ホールで開催された.鳥井一行 さん (ピアノ)と Dr. Steffen Luitz (チェロ)とシューベルト、Piano Trio op99を弾いた.第2回目来日のSteffen は前回ご一緒したプロ級のピアニスト鳥井さんと共演ができて大満足.失敗談は色々あれどアマチュア演奏家の楽しいひと時であった.来年は同じ武蔵野市民文化会館小ホールで4月5日に開催の予定.

  • 5/9/2025 音楽家と作品への雑感 「モーツアルト」

    第16章 V. アマデウス・モーツアルト (No.2) (Volfgang Amadeus Mozart)    (1756年~1791年35歳没)                   歌劇編: 1.      「フィガロの結婚」 :カルロ・マリア・ジュリーニ指揮、フィルハーモニア管弦楽団及び合唱団、エーバーハルト・ヴェヒター(Br)、エリザベート・シュワルツコップ(Sop)、ジュゼッペ・タディ(Br)、アンナ・モッフォ(Sop)、フィオレンツア・コソット(M. Sop)のレコード盤が出色の演奏並びに録音状態. 2.      「後宮よりの逃走(誘拐)」 :ドリアン・マルターラー演出によるザルツブルグ空港をステージにした斬新な構想.衣装・照明など新工夫が、初めて観る真機軸のステージに眼を注ぐ物ではあるが演奏会としては如何なものか. 3.      「偽の女庭師」 :オペラ・ブッフォの雰囲気が楽しめる衣装・舞台演出のミラノ・スカラ座公演(2018年)をビデオ鑑賞した.正統的な演出・歌唱・演技で大変に満足だった. 4.      「ドン・ジョヴァンニ」 :プラハでの「フィガロの結婚」の上演で大成.を収めたモーツアルトは、新作の依頼の題材に中世のドン・ファン伝説を選び、その台本を「フィガロ」と同じダ・ポンテに依頼し、短期間で作曲を完成させた.今回聴き直した演奏の中では①フルト・ヴェングラー指揮、ウイーン国立歌劇場(1954年)の舞台装置・衣装も含め歌手(グリュンマー、シュヴァルツコップ、シエピ)、②ジェリーニ指揮、フィルハーモニア管弦楽団(1959年)の演奏・歌唱(シュヴァルツコップ、ジョン・サザーランド、タディ)が群を抜いて素晴らしい. 劇中のアリアでは②のシュヴァルツコップが歌うドンナ・エルヴィーラの“レスタティーヴォとアリア”(第21曲C)は、追い込んで行くような感情と旋律の美しさで特段に好きなパートであるが、解説によると、この曲のパートは作曲後に、歌手の希望によって追加された部分とのことで、特別の曲名が付いていないようで不思議に思う. 5.      「コシ・ファン・トウッテ」 :カール・ベーム指揮のエリザベート・シュワルツコップ、クリスタ・ルードヴィッヒ等の評論家の押すベストの演奏を改めて聴いたが、このオペラはあまり馴染みの無いアリアよりも重唱(二重唱、三重唱、多重唱)の聴き心地良い和声を楽しむオペラだと改めて思った.その意味ではモーツアルトの有名なオペラの中でも演奏が最も難しい玄人向きのオペラだと思う. 6.      「魔笛」 :ピリオット的な演出・演奏を試みたと思われる2公演(ミラノ・スカラ座2011、グランドボーン音楽祭2019)と、オーソドックスな演出・演奏の1公演(ザルツブルグ音楽祭2006のリカルド・ムーティ指揮)をビデオ録画で見直した.この中ではムーティ指揮の公演が本格的な取り組みを感じさせ堪能した.一方、カール・ベーム指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団演奏のレコード盤(1964年収録)はタミーノ役のフリッツ・ヴェンダーリッヒ(Fritz Wunderlich)を始め、夜の女王役のロバータ・ピータース(Roberta Peters)、パパゲーノ役のディートリッヒ・フィッシャー-ディスカウ(Dietrich Fischer-Dieskau)などの名歌手が歌うアリアや重唱が大いに楽しめた.  今回の雑感記録に際して、改めて聴き直した作曲家の作品リストを参考までに下記の表にした.

  • 2/18/2025 音楽家と作品への雑感「モーツアルト」

    第16章 V. アマデウス・モーツアルト (No.1) (Volfgang Amadeus Mozart)    (1756年~1791年35歳没) モーツアルトの出生地ザルツブルグはカトリックの勢力の強いローマ風の小都市であった.父親レオポルトは姉のナンネルルと弟のヴォルフガングに幼少時からクラヴィアを習わせたが、ヴォルフガングは異常なまでの才能を示していた. 父は6歳のヴォルフガングと11歳のナンネルルを連れてミュンヘンに演奏旅行を試み、その後の10年間はパリ、ロンドン、アムステルダム並びにイタリアへの演奏旅行で費やされた.17歳からの7年間、 ヴォルフガング はザルツブルグの宮廷音楽家として活躍する.マンハイムへ旅した際にウエーバー家のアロイジアに恋心を抱くも失恋するが、その後 アロイジアの 妹コンスタンツエと26歳で結婚する.25歳でザルツブルグ大司教と決裂し、独立した音楽家を目指して以降はウイーンに定着する. 次々と作曲する作品は市民に熱狂的に迎えられたが、妻のコンスタンツエは家計を切り盛りする能力に欠け必ずしも経済的な成功を意味しなかった.長男、三男、父親の死に遭遇し、自身も重病を経験する羽目に陥って、世俗的な成功とは裏腹の、暗い物心両面の生活のうちに最後の4年間を迎える.32歳(1788年)の2か月間に所謂、3大交響曲を完成し、34歳の年に歌劇「魔笛」の完成を間近に、鼠色の服を着た未知の男の訪問を受け「レクイエム」の作曲を依頼され、未完のまま35歳でこの世を去った. この度、視聴した演奏からモーツアルト音楽の印象を短く綴ってみたものは下記の通り. 交響曲 :モーツアルトが生活苦の最中にあった1788年の2か月という短い期間に、後に「最後の三大交響曲」と話題にされる交響曲第39番、第40番、第41番《ジュピター》が作曲された.第39番の晴朗な美しさ、第40番の高貴な哀しみ、第41番の輝かしい壮麗さのどこにも、暗い世俗的な影が見えない素晴らしい作品.モーツアルトの全41曲の交響曲の中で短調で書かれているのは第25番と第40番のみ.近年の演奏会録画ではニコラウス・アーノンクール指揮のウイーン・フィルハーモニー管弦楽団(2006年、東京公演)の第39番、第40番、第41番の連続演奏がモーツアルトの生まれ故郷の音色を感じさせる演奏で、際立って心に沁みた. 協奏交響曲 :協奏交響曲 変ホ長調 K.364は思い出のウイーン楽友協会での演奏会の現地で購入したCDで聴いたが、モーツアルトがマンハイム・パリの旅行(1797~99年)の際に、当時の演奏会でもてはやされていた複数の独奏楽器による協奏交響曲をザルツブルグに帰郷後に作曲した名曲. ヴァイオリン曲 :ヴァイオリン協奏曲第3番の第1楽章はオーケストラとソロの掛け合いの妙、アダージオの極めて美しいメロディが心地よく響く.第5番は第3楽章の中間部に突如トルコ風のリズムを持つ楽想が現れ、名手ユーディ・メニューインの演奏はモーツアルトのヴァイオリン協奏曲の中でも最もポピュラーな名曲を楽しませる名演. 管弦楽曲 :セレナード第13番《Eine Kleine Nachtmusik》はやはり名曲.今回はオトマール・ズイトナー指揮/ドレスデン国立歌劇場管弦楽団とフルトヴェングラー指揮/ウイーン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏で聴いたが改めて思った.ディヴェルティメント(喜遊曲)ニ長調をイ・ムジチ合奏団で聴いたが清澄な軽やかな演奏で素晴らしい.第17番はメヌエットを2つ持つ6楽章から成り、特に第3楽章メヌエットは、所謂《モーツアルトのメヌエット》といて有名. クラリネット協奏曲 :クラリネット協奏曲イ長調 K.622も思い出のウイーン楽友協会での演奏会の現地で購入したCDで聴いた.友人アントン・シュタードラー(クラリネット奏者)のために亡くなる数か月前に作曲したオーケストラとソロが程よい比率で織り込まれている名曲.クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581は「シュタードラー」の副題が付くが、この曲も友人のために作曲しただけあって、感情表現の濃さや、楽器の協奏的な扱いと室内楽的な緻密さも、楽器の編成も申し分ない名曲中の名曲.特にレオポルト・ウラッハ (Cl)/ウイーン・コンツエルトハウス四重奏団の演奏はウイーンの演奏様式の醍醐味を満喫させてくれるものであり断然良い. フルート協奏曲 :フルートとハープのための協奏曲K.299はパリ滞在中にド・ギーヌ公爵の依頼により作曲された作品で、ソロ楽器の特性をフルに活用した優雅な楽想、流麗な 曲運びなど上品なサロン風の音楽に聴こえる.フルート協奏曲第1番より第2番の方がより美しいがジェームズ・ゴールウエイは天性のフルーティスト. フルート四重奏曲 第1番~第4番までも聴いたが、ソロ楽器としての弦楽器団との音の相和性はフルートよりもクラリネットの方が可成り高いと私は感じた.モーツアルトもフルートという楽器の機能性の不足や音程の不安定さなどの理由で、あまり好まなかった楽器だったとの記録があるようだ. ピアノ・ソナタ並びに協奏曲 :ピアノ・ソナタ第1番~第7番及び第9番はグレン・グールドの演奏で、どれも心地よく 聴ける佳作.ピアノ・ソナタ第8番はディヌ・リパッティの演奏が絶妙.ピアノ・ソナタ第11番《トルコ行進曲付》は速いテンポとリズム感が抜群に心地よい名曲.ピアノ協奏曲第20番及び第21番はモーツアルトの全作品の中でも極めて美しい名曲.第21番はバレンボイムとリパッティの演奏で、特に第2楽章がスエーデン映画「短くも美しく燃え」に使用されたこともあり、はかなくも美しい旋律が心に沁みる.第23番はルービンシュタインの演奏で聴いたが、メランコリックな旋律の第2楽章シチリアーノによるアダージオ、第3楽章のロンドは特に記憶に残る.藤田真央のスイス・ヴェルビエ音楽祭2021のモーツアルト・リサイタルは、真に軽やかに、エネルギッシュに見事な演奏.ピアノ・ソナタ第10番を演奏するホロヴィッツには、あの巨匠アルゲリッチが仰け反るように、その精緻な鍵盤上の柔らかいタッチを褒めているシーンが映って感動する.現代最高のピアニストのアルゲリッチ&バレンボイムによる”2台のピアノのためのソナタ”1曲と ”ピアノ連弾ソナタ”3曲は、二人の息の合った貴重な名演奏だった. 宗教曲 :モテット「踊れ、喜べ、汝幸いなる魂よ」は名曲中の名曲.マリア・スターデルのソプラノを久し振りに聴き直した.ミサ「戴冠式ミサ」も久し振りに聴いた.音楽史上最高のレクイエムと言われる「レクイエム」は学生時代に合唱団メンバーとしてステージでも歌ったが何度聞いても心が落ち着く名曲だ.レコードで聴く、カラヤン&ベルリンフィルも良いが、ビデオで観るクラウス・マケラ指揮のロイヤル・コンチェルト・ヘボウの演奏は圧巻だ.又、ザルツブルグのフェルゼンライトシューレ(Felsen Reit Schule)のムジカ・エテルナ管弦楽団及び合唱団による演奏並びにウイーン楽友協会合唱団の日本での演奏会のビデオ録画演奏も個性的で素晴らしい. アリア曲 :シュワルツコップの歌で20曲ほど聴いたが特に「すみれ(Das Vilchez)」や「春へのあこがれ( Sehnsucht nach dem Frühling )」が気に入った. 今回の雑感記録に際して、改めて聴き直した作曲家の作品リストをご参考までに 下記の表にした.

  • 12/31/2024 本のレビュー、有吉佐和子著、「蒼い壺」(出版社:文春文庫)

    <あらすじ> 青色の壺が偶発的に作られ、妻に褒められる内弁慶な陶芸家、省造. その壺はデパートで売られ、引退した夫婦に購入され、その夫婦は会社でお世話になった上司へ贈答品として送る.そして、また別の夫婦の家へ、、、   その後、壺は海外に渡り、複数の家庭で保存され、また日本に戻ってくる. 筆者 は 「 蒼い壺 」 を通してその間の戦中や戦後の様々な家庭事情を描く.   最後に壺が偶然にも、省造と古美術の鑑定士の前に現れる. 鑑定士は「これは貴重な芸術品で価値も高い」と言うが、省造は確かに自分が作った壺だと思う.そのままタクシーに乗って帰る省造は、運転手の何気ない話を聞きながらも、「青い壺」のことが頭から離れない.   <ブッククラブでの感想> 無名の陶芸家が偶然生み出した青磁の壺が、様々な人々の人生を旅し、10年後に美しい古色を伴って陶芸家の前に現れる(しかし、手元に戻ってくるわけでもない)お話.大きなテーマは見いだせませんでしたが、昭和の社会情勢、生活習慣、夫婦間や会社との関係性をベースに、ならではの言葉遣い等がちりばめられた13篇は、どれも人間味たっぷりでした. 「青い壺」に出会えてとても良かったと思いました.提案して下さってありがとう.重ねて読むと、最初に気が付かなかったミステリーや、作者からのメッセージが見えて来そうで、もう一度読んでみたい本です. 戦中に日本の防空壕で結婚記念日を迎えた夫婦の話がとても印象的でした.フランスで海外駐在をした夫は、妻にできる限りのワインやご馳走を想像力豊かに解説する.夫は防空壕でも紳士であり、妻もそれに感謝する.その夫婦にしか分からない貴重な思い出になったことでしょう. 堪能しました.過去唯一読んだ有吉佐和子の「複合汚染」とは全く質の異なる作品で、これまで抱いていた作者へのイメージも覆り、この本に出合えてよかったなと思います. 今まで有吉佐和子の本に興味を持つことがなく、読んだ事がなかったのですが、今回良い機会を頂き、良かったです.懐かしく暖かくも感じる昭和的な家族や生活、それにプロでもアート作品の価値が見る人により全然違う描写も面白かったです. 「青い壺をどの様に想像したか」をブッククラブのメンバーに聞いてみると、本のカバーの様な色、小ぶりな感じなど、メンバーそれぞれ. 著者 有吉佐和子

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