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12/12/2025 音楽家と作品への雑感 「ベートーベン」

  • 執筆者の写真: Takeaki Iida
    Takeaki Iida
  • 2025年12月12日
  • 読了時間: 5分

第17章 ルートヴィッヒ・V・ベートべン

(Ludwig van Beethoven)    (1770年~1827年、56歳没)

         


祖父は現ベルギー出身のバス歌手で知られ、ボンに移住してきてケルン選帝侯の宮廷礼拝堂の歌手から楽長を務めた.父も同じ宮廷の歌手で、息子を大音楽家に仕立てようと幼少から過酷なピアノ練習を強いた.ルートヴィッヒは16歳で一度ウイーンを訪れモーツアルトに会う.その後のボンでの生活はブロイニング家(Breuning Family)の知遇を受け、ボン大学の聴講性になるが、折から起こったフランス革命の息吹を感じつつ自由へのあこがれを心に刻んだとされる.以前にイギリスで知ったハイドンを尋ねて20歳でウイーンに出向き、その後はボンへは度も戻ることが無かった.


初期(1782~1803)の作風は、古典派の影響を強く留めつつ個性的、中期(1803~15)に作風は大きく転換し、大胆な技法による情熱的で力強い表現が加わり、それが次のロマン派音楽への先駆けへと繋がる.時代的にはナポレオンのヨーロッパ制覇の時期であり、神聖ローマ帝国の解体に象徴される封建的旧体制の崩壊と自由主義台頭の時期と符合している.後期(1815~27)は、ナポレオンの没落とウイーン反動体制の時代に相当し、作風は自己への沈潜と、より深められた人類的理想への希求を秘めた音楽的極致に到達した.


ベートーベンは28歳(1799年)頃に、ジュリエッタ(Giulietta Guicciardi)、テレーゼ(Therese Malfatti)という2人の女性に恋をし、テレーゼとは婚約をするも不幸にも解消となり一生独身の身となった.その頃から難聴が顕著となり、遂に31歳(1802年)の時に二人の弟と一人の女性(テレーゼ)宛の遺書、所謂「ハイリゲンシュタットの遺書」(Heiligenstädter Testament)を書く.しかし耳の不治の病を抱えつつ、強い精神力で創作を続け、輝かしい名曲のバイオリン・ソナタ「クロイツエル」(1803年)、交響曲第3番「英雄」(1804年)など、第2の創作期に入り、最大最高の第9交響曲「合唱付」(1824年)に辿り着く.


この度、視聴した演奏からベートーベン音楽の印象を短く綴ってみたものは下記の通り.


ロマンス:  第1番と第2番をハイフェッツの演奏で聴いたが第2番は幼い頃から折に触れて聴いた美しいメロディが心に響いた.


ピアノ・ソナタ: 第15番「田園」、第17番「テンペスト」、第21番「ワルトシュタイン」、第28番、第29番「ハンマークラヴィーア」をポリーニの演奏で聴いたが、第15番は古典的・牧歌的、第21番は美しい旋律、第29番は超技巧を伴う大曲で改めて感心した.第8番「悲愴」、第14番「月光」、第23番「熱情」はウイルヘルム・バックハウスの演奏で聴いたが、いずれも名曲・名演奏で、もっと頻繁に聴き直したい.他にも、今回聴いたピアノ・ソナタは第1番、第3、第6、第8「悲愴」、第9、第12「葬送」、第14「月光」、第15「田園」、第16、第17「テンペスト」、第18、第21「ワルトシュタイン」、第23「熱情」、第24、第26「告別」、第29「ハンマークラヴィーア」、第30、第31、第32番の多くを、複数の演奏者で聴いた.副題の付いている曲はいずれも名曲で印象に残るが晩年の名曲と言われる第30番~第32番は、正直なところ、いつ聴いても心地よいと言った意味での名曲とは感じない.人生とは何かを探す時に聴けば別の聞こえ方をするのだろうが.


ピアノ協奏曲: 第4番並びに第5番「皇帝」はバレンボイム(Pf)/ オットー・クレンペラー指揮のニューフィル・ハーモニー管弦楽団盤、クリスティアン・ツイマーマン(pf)/ L.バーンスタイン指揮 ウイーン・フィルの演奏は素晴らしい名曲、名演奏で何度も聴きたくなった.


ピアノ三重奏曲: 第7番「大公」を3つのトリオの演奏で聴いた.

バイオリン・ソナタ: 第5番「春」と第9番「クロイツエル」をズッカーマン&バレンボイム及びオイストラッフ&オボーリンで聴いた.阪神大震災の被災時のレコード傷と録音状態を除けば名曲間違いなし.


チェロ・ソナタ: 第1番~第5番をロストロポーヴィチ(Vc) / リヒテル(Pf)で聴いた.いずれも名曲だが第3番が一般には特に評価が高い名曲.


ピアノ、ヴァイオリンとチェロのための三重協奏曲: オイストラッフ(Vn) / ロストロポーヴィッチ(Vc)/ リヒター(Pf)とカラヤン指揮のベルリンフィルで聴いた.他にも、ピンカス・ズーカーマン(Vn) 、アマンダ・フォーサイス(Vc)、 I.ブロンソン(Pf)、アンネ・ゾフィー・ムター(Vn)、ヨーヨー・マー(Vc)、 ダニエル・バレンボイム(Pf、指揮)を聴いた.交響曲以上に壮大な協奏曲だが名手3人と巨匠が揃っての演奏は、日常的に聴ける曲とは思えない重たさを感じた.


弦楽四重奏曲: 第1番、第2、第7&第9、「ラズモフスキー」、第11、第13、第16番と聴いた.ブタペスト弦楽四重奏団演奏の弦楽四重奏曲第1番より第2番の方が聴きやすい.




交響曲: 第1番から第9番「合唱付」まで多くの楽団の演奏を聴いたが、特に印象に残った演奏は次の通り.


第3番「英雄」:F.ヴェングラー指揮 ウイーン・フィル、K.マケラ指揮 コンセルト・ヘボウ


第4番:C.クライバー指揮 コンセルト・ヘボウ 


第5番「運命」:D.バレンボイム指揮 ベルリン・フィル、H.カラヤン指揮 ベルリン・フィル 


第6番「田園」:F.ヴェングラー指揮 ウイーン・フィル、S.ラトル指揮 ベルリン・フィル、K.マケラ指揮 コンセルト・へボウ、H.カラヤン指揮 ベルリン・フィル 


第7番:C.クライバー指揮 コンセルト・ヘボウ、 H.カラヤン指揮 ベルリン・フィル 


第8番:H.カラヤン指揮 ベルリン・フィル 


第9番「合唱付」:H.カラヤン指揮 ベルリン・フィル、L.バーンスタイン指揮 ウイーン・フィル.


直、交響曲第5番「運命」はアルトウール・ニキッシ指揮のベルリン・フィルで、第7番はクナッパーブッシュ指揮のベルリン国立歌劇場管弦楽団の演奏で聴いたが、いずれも録音状態が古く、別の演奏で聴き直した. 時々、クラシック通が指揮者の名前で古い演奏を最高だとしゃべる輩がいるが、私は古い録音で最高の演奏と思うものは殆どない.演奏テクニック・会場の雰囲気・録音・録画状態が揃っての名演奏だと思う.


ミサ・ソレムニス(荘厳ミサ曲): ベートーベンの情熱がそのまま作品に表現されていて、圧倒的な迫力を感じる.教会音楽に留まらず人類に普遍的な価値を持つような傑作と思う.オットー・クレンペラー指揮/ニューフィルハーモニア管弦楽団の演奏がスケールの大きい堂々としたベートーベンの意思を伝えるかのような名演奏である.又、ファビオ・ルイージ指揮 ドレスデン国立歌劇場管弦楽団のフラウエン教会での演奏は本場の雰囲気を味わえる名演奏.


歌劇「フィデリオ」: ミラノ・スカラ座、ザルツブルグ祝祭劇場、アン・デア・ウイーン劇場、ロイヤル・オペラハウスの4公演を鑑賞したが、舞台装置・衣装など合わせてロイヤル・オペラハウスの演出が一番馴染めた.

 

今回の雑感記録に際して、改めて聴き直した作曲家の作品リストをご参考までに下記の表にした.



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