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  • 執筆者の写真Takeaki Iida

6/15/2022 音楽家と作品への雑感「スメタナ」

第7章 フリードリッヒ・スメタナ Friedrich Smetana

(1824年~1884年 60歳没)    


チェコのパルドウビュッツ州(Litomyšl リトミッシェル)の酒造家に生まれ、単身プラハに出てピアノと作曲を学んだ.ボヘミア地方は当時、オーストリアの支配下にあり、チェコ独立革命運動が盛んで、スメタナも民族運動に加担して、義勇軍のための行進曲を書いたりしていたが、スエーデンのイエテボリに5年間難を逃れて指揮者を務めていた.


作品の中で「モルダウ」が特に有名で演奏される回数も多いが、これは連作交響詩「わが祖国」(全6曲)※①の第2曲目である.改めて全曲(演奏時間80分間)を聴き直してみると、「モルダウ」がエルベ川の上流にあたる大河の激流と小波を見事に表している名曲だと思う一方、他の5曲はチェコ民族の団結を意図して作曲されている感がして、闘争的な旋律や音響を感じる部分が多く、21世紀の現在のロシアによるウクライナ侵攻という理不尽な戦闘行為を目の当たりにしている時期でなく、平穏時に聴くと大変重苦しい感じがするだろうと思った.


モルダウ川(Vltava ヴルタヴァ川)はチェコ北部に端を発し、ドイツ東部を流れ北海に注ぐ全長1091Kmの長い川.流域の主な都市はチェコのプラハ、ドイツのドレスデン、マグデグルグ、ハンブルグ.私はハンブルグに1960年代、70年代の2回に分けて5年間住んでいたので、エルベ川には色々な想い出があるだけに作品「モルダウ」を聴く度に思い出が蘇る.


※①連作交響詩「わが祖国」 

1「ヴィシェフラド(Vyšehrad)」:プラハの丘の上の城の名前

2「ヴルタヴァ(Vltava)」(モルダウ(Die Moldau)):川の名前  


3「シャールカ(Šárka)」:女戦士の名前 

4「ボヘミヤの森と草原から(Aus Bo”hmens Hain und Flur)」:風景描写 

5 「ターボル(Tábor)」:強く戦ったフス教徒の陣営の名前  

6「ブラニーク(Blaník)」:砦のあった山の名前



※②「ピアノ三重奏曲 ト短調」 各楽器の自己主張と調和とが程よく交差する民族的な旋律の曲.


今回の雑感記録に際して、改めて聴き直した作曲家の作品リストをご参考までに下記、表にした.







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