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  • 3/4/2021 地域発の自主映画「にしきたショパン」3月26日 宝塚市売布「シネ・ピピア」で公開

    新作映画「にしきたショパン」が3月26日(金)より「シネ・ピピア」(宝塚市売布)で公開される.公開に先立ち、作品を制作した監督とプロデューサーを交えて開かれた2時間に及ぶオンライン・イベント(日本ポーランド協会関西センター主催)にZoomとYouTubeで視聴することが出来た.小生はこの作品について、制作者の思い、ポーランドの歴史と日本との関わり等々を身近に感じ取ることが出来たので、その記録メモをご紹介したい. 上映は3月20日(土)より「元町映画館」(神戸)、「シネ・ヌーヴォ」(大阪)、「池袋 シネマ・ロサ」(東京)、3月26日(金)より「京都みなみ会館」(京都)等においても公開される. (下記写真の人形は小生が企業人時代の欧州会社(ドイツ、ハンブルグ)勤務時代(1970年代)にポーランドへ数度出張した当時に自分の想い出土産に買って帰った人形.) テーマ https://www.youtube.com/watch?v=QB49YimOfEc https://www.youtube.com/watch?v=q-UY_PF1-1o 「阪神淡路大震災の記憶を語り継ぐ」「左手のピアニストを応援する」この二つをテーマに、本格ピアノ映画が誕生した.ショパンの名曲、沼光絵理佳編曲によるラフマニノフ ピアノ協奏曲第二番ピアノ ソロ・バージョン、近藤浩平作曲による左手のピアノなど全編音楽に満ち溢れ、ピアニストを目指す若き二人の人間ドラマが胸に迫る.監督は、研究技術員として働きながら「週末映画監督」として世界に挑戦してきた女性映画監督、竹本祥乃(よしの).これが初長編作品でありながら、既に世界からの評価を獲得している..」(にしきたショパン・サイトより)https://office-hassel.com/n-chopin/ ストーリー 「凛子(りんこ)と鍵太郎(けんたろう)は幼なじみであり、その独特の風貌から達磨先生とよばれる高校音楽教師のピアノの門下生.鍵太郎のピアノの腕は、門下生の中でも常に一番で、作曲もこなす天才肌だ.鍵太郎の大きな手が奏でるラフマニノフは素晴らしく、テクニックでは誰にも負けない実力を持っていた.対して凛子は、ピアノは大好きだが、不器用でコツコツと努力するタイプ.彼女はショパンに憧れていた.だが、「阪神淡路大震災」そして「局所性ジストニア」というピアニストとしての道を閉ざされかねない大きな試練が二人を襲う.葛藤し、苦悩しながらも二人は「魂に響く音」を追い求めていく.」(にしきたショパン・サイトより)https://office-hassel.com/n-chopin/ 左手のピアニスト智内威雄、 瀬川泰代 両氏がシナリオ制作に協力.世界には左手だけでの演奏する名演奏家が他にもいる.有名な演奏家では第1次世界大戦で右手を失い負傷した左手だけのピアニストのパウル・ウィトゲンシュタイン. ロケ地 兵庫県立西宮高等学校、神戸女学院大学、夙川公園(阪神香露園駅周辺)、夙川グリーンタウン(阪急夙川駅前)、日本福音ルーテル西宮教会、西宮東卸売市場、医療法人財団樹徳会上ヶ原病院、ピアノ・バーおでんでん 受賞歴 ・アントワープ(ベルギー)国際映画祭審査員賞 ・コソボ玉座の女王映画祭長編脚本賞 ・日本第12回映像グランプリ脚本賞 ・ミラノ国際映画祭OFFICIAL SELECTION ・他 監督とプロデューサーの出会い 竹本監督と近藤プロデューサーの出会いは2017年10月に竹本監督が映画「アルカディア」の撮影現場を探して行き当たった場所(レストラン)が、近藤氏の経営だったことで、その時の各種支援が発端で、近藤氏は竹本監督の才能と心意気で意気投合.竹本監督のポーランド映画への想いは、アグニュシュカ・ホランドという、ポーランド人の女性監督の映画を観た時に大変好きになったときからだそうだ. オンライン・イベント出演者紹介 (司会)定藤博子:阪南大学准教授 (日本ポーランド協会関西センター会員) (監督)竹本祥乃 (プロデューサー)近藤修平 藤井和夫:関西学院大学名誉教授(日本ポーランド協会関西センター会長) 岡崎拓:羽衣国際大学専任講師(日本ポーランド協会関西センター会員)

  • 3/6/2021 ベートーヴェン ピアノ・トリオ「幽霊、ゴースト」 へ長調、op. 70 no. 1

    https://www.youtube.com/watch?v=ReZeyI8Z5wk 「それは、あまり良い経験であったとは言えない.まず、ベートーヴェンのピアノは長い間調律されていなかった.そしてベートーヴェンはすでに難聴であったため、少なくとも彼にとっては調律されていないピアノを弾くことは問題なかった.今まで、あれ程高く賞賛されてきたベートーヴェンの素晴らしい技術は、ほとんど、あるいは全くと言っていほど残っていなかった.難聴のベートヴェンは、大音量のパッセージを弾くとき、音符を続けさまに叩きのめし、スコアがないと聴いているものにとってはメロディーが全く分からないほどであった.私はこの悲劇に深く動揺した.そしてこの経験から、ベートヴェンのほぼ継続的な憂鬱は、私には謎ではなくなった.」(1808年にベートヴェンにピアノ・トリオ、ニ長調のリハーサルに招かれた折に、ヴァイオリニスト、ルイ・シュポーがしたコメント) 「大公」と並び「ゴースト」は最も良く弾かれるベートーヴェンのピアノ・トリオ.難しい曲ではあるが、ピアノ・トリオを弾く(編集者を含む)アマチュア演奏家にとってはレパートリーとして是非持っていたい曲である.編集者が選んだトリオはジャクリーヌ・デュ・プレ(チェロ)、ダニエル・バレンボイム(ピアノ)、ピンカス・ズーカーマン(ヴァイオリン)によるレコーディング.恐らく1970年の初めに録音されたらしいこのレコーディングは若い、将来を約束されていたトリオの息の合った演奏である. 英国生まれのジャクリーヌ・デュ・プレは1971年(26歳)に指先などの感覚が鈍くなってきたことに気付く.この症状は徐々に悪化し、1973年の演奏旅行のときには既に満足のいく演奏が行えなくなっていた.同年秋に多発性硬化症と診断され、チェロ演奏家として事実上引退.その後の数年間はチェロの教師として後進の育成を行っていた.1975年にはエリザベス女王からOBE勲章(大英帝国勲章 Order of the British Empire)を授与されている.多発性硬化症の進行により、1987年に42歳で死去した.(Wikipedia) 指折りの銘器と言われる1713年製の巨大なストラディヴァリウス “ダヴィドフ”を生涯演奏し、その巨大なチェロを演奏するデュ・プレ(彼女の短い生涯を考えると悲しいが)をビデオで聴けることができるのは嬉しい. ベートーヴェン(1770 – 1827)は28歳くらいから難聴が始まったと言うから、「ゴースト」を作曲した年にはすでに難聴が進んでいたらしい.このピアノ・トリオが発表された1808年にヴァイオリニストのルイ・シュポーがベートーヴェンとリハーサルをしたときの様子を鮮明に語っている(上記).「ゴースト」はベートーヴェンの中期(1803-1812頃)の作品で、交響曲第5番、交響曲第6番を含む、最も有名な作品が生み出された時代である.

  • 3/6/2021 フィルム・レビュー「マンク」

    主演 ゲリー・オールドマン、アマンダ・サイフリッド、リリー・コリンズ R 「市民ケーン」は、米国でこれまでに製作された中で最高の映画として認められることが多く、オーソン・ウェルズの名前は「市民ケーン」の共著者、監督、スターの同義語になった.「マンク」は、この有名な映画「市民ケーン」のもう一人の作家であるハーマン・J・マンキーウィッツに焦点を当てている. ゲリー・オールドマンが演じるマンキーウィッツは1930年代から1940年代にかけて活躍したニューヨークのジャーナリストで、「アメリカ人」と題した映画の最初の原稿を執筆するために雇われ、ハリウッドに来る.カリフォルニアに到着してすぐに自動車事故に遭ってしまい、マンク(マンキーウィッツの綽名)は台本を書くために砂漠のゲスト・ハウスに閉じ込められる.このゲスト・ハウスで、マンクが事故から回復し、確実に仕事を成し遂げるためのサポートとして、ドイツ人のセラピストと英国人の秘書があてがわれ、彼女らはマンクとゲスト・ハウスに同居する.マンクはアル中の上、ヘビー・スモーカーでもあり、セラピストと秘書の仕事は困難極まりない. この映画には幾つかのテーマがある.焦点は脚本を書くプロセスである.タイプ・ライターが各シーンの始まりにそのセクションのタイトルを映像として打ち出し、作家の視点を伝える.その他に、マンクと彼の妻、彼をサポートしている女性たち、そして彼の友人や彼の敵となる人達とマンクとの人間関係、これらすべてが映画のテーマとなっている.最も重要なテーマのひとつは当時のハリウッドの政治と国際関係.MGM映画、ルイス・B・メイヤー、ウィリアム・ランドルフ・ハースト、マリオン・デイビスと第二次世界大戦はこの映画の物語に織り込まれている.政治、時代の背景を説明するために多くのフラッシュバック・シーンが使われ、時によって、どの時代が映されているのかを知るのが困難になることもあるが、それにも増して、演技とビジュアルは魅力的である. デヴィッド・フィンチャー(作者兼監督)は、オリジナルの「市民ケーン」のスタイルで各シーンを美しく作り上げ、白黒で撮影されたセット、衣装、音楽は、その時代をよくあらわした.その上、フィンチャーは、小さな白い点をフィルムに埋め込み、当時、映画のオペレーターに「フィルムの次のリールをプロジェクターにロードせよ」という合図であったこの昔の映画のトリックまで加えた. 「マンク」は映画愛好家のための映画だと思う.聴衆の注目を集めるカー・チェイスやセックス・シーンはない.「タイタニック」や「スター・ウォーズ」のような大興行映画になることは恐らくないと思うが、才能ある作家であり、何が彼にやる気を与えたのかを描いた、男の人生の映画だと思う. https://www.youtube.com/watch?v=aSfX-nrg-lI

  • 3/3/2021 「弦楽のためのアダージョ」Samuel Barber "Adagio for Strings"

    https://www.youtube.com/watch?v=lKrxPTePXEQ サミュエル・バーバー(1910-1981)はアメリカの作曲家.アダージオは1935年にバーバーがイタリア留学中に弦楽四重奏曲第1番ロ短調として作曲され、その第2楽章が「弦楽のためのアダージョ」としてとくに有名になった.上記のオリジナルの弦楽四重奏曲はドーバー弦楽四重奏の演奏. https://www.youtube.com/watch?v=F1kmvF1w7yk テンポも遅すぎず、流れるような演奏の サー・サイモン・ラトル(指揮)のベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のアダージオも素晴らしい. レナード・スラットキン(指揮)は、”In memory of 11 September 2001”「2001年9月11日の死者の追悼」と題して、2001年9月15日にBBCオーケストラを指揮している.動画も含めた感傷的な演奏である. https://www.youtube.com/watch?v=Y4PWdOoOQjI 「弦楽のためのアダージョ」は、ジョン F. ケネディが特に好きであった一曲であったそうで、ジャッキー・ケネディが、ジョン・ケネディ暗殺直後の月曜日に(国立交響楽団による観客なしの)コンサートを手配したという.コンサートはラジオで放送され、バーバーはこのコンサートに関してのWQXRとのラジオ・インタビューを受け「いつもこの曲が追悼として演奏されるのは知っているが、私の他の曲も演奏してくれればと思う」といったそうだ.(Wikipedia) バーバーの「弦楽のためのアダージョ」は最も悲しい曲ともいわれ「最も悲しい音楽」”The Saddest Music Ever Written” という著書もある. FMラジオ聴取者向けのアンケートの結果によるものではないかと思うが、英国ベースの Classic FM (100-102FM) に「最も悲しいクラッシク音楽」」10曲が挙げられている.これから春に向かっていく季節に「秋の夜長に」とは言えないが、なるほど思う曲も入っているので、その「気分」になったときに、聞いてみる価値はあると思う. https://www.classicfm.com/discover-music/latest/10-classical-music-tear-jerkers/ 1. Puccini: ‘Sono andati?’ from La Boheme 2. Wolfgang Amadeus Mozart: ‘Requiem’ 3. Edward Elgar: Nimrod from the Enigma Variations 4. Samuel Barber: Adagio for Strings 5. Tomaso Albinoni: Adagio in G minor 6. Johann Sebastian Bach: Come, Sweet Death 7. Henryk Gorecki: Symphony of Sorrowful Songs 8. Henry Purcell: Dido's Lament 9. Pyotr Ilyich Tchaikovsky: Symphony No. 6, fourth movement 10. Giuseppe Verdi - V'ho ingannato, from Rigoletto

  • 2/28/2021 フィルム・レビュー "Nomadland"「遊牧人生」

    主演: フランシス・マクドーマンド、デヴィッド・ストラザーム R フランシス・マクドーマンドは、最近夫を亡くし、長年働いていた石膏工場が閉鎖されたために職を失った、ファーンという女性を演じている.ファーンは自分の持ち物のほとんどを売り、居住用のバンを購入し、仕事を探して全国をドライブし始める.直後、彼女はアマゾン・センターで仕事を見つけ、そこで雇用を求めて町から町へ移動する遊牧民の何人かの人に出会う. ファーンの新しい友人の一人が、サポート・システムを提供する他の遊牧民の住む砂漠の一角に招待する.この映画を見出した瞬間「こんな遊牧民のようなライフ・スタイルは気が滅入る」と最初は思うかもしれないが、すぐにこのグループがお互いに持っている強いコミュニティの自覚と、彼らが示す命に対する尊厳に気が付く.フランシス・マクドーマンドは、この役割に最適な女優だと思う.彼女は「一目」または「簡単なジェスチャー」で人生を語れる女優である.映画の中でファーンが失恋しても、恐らく、彼女は自分が望む人生を送る力のある人故に、彼女を憐れる必要はないと思う. この映画は大変に静かな映画で、視聴者として、一人でいることの孤独と沈黙を体験することもできる、美しく撮影された映画でもある.バッドランズ国立公園での撮影は素晴らしく、トリックも特殊効果もない自然な製作だ.俳優の多くは、実際の遊牧民で、ルドヴィコ・エイナウディのバックグラウンドに流れる音楽は各シーンにぴったり合っている. https://www.youtube.com/watch?v=H-D4YKZ4LM0&list=PLez_NgpsuzWHqv5z1DiosiKFRU1A_1HOj 2020年にリリースされた "Nomadland"「遊牧人生」は、俳優、監督、映画撮影ですでに多くの賞を受賞している.2021年のゴールデン・グローブ賞とアカデミー賞の受賞者になる可能性は大きい. https://www.youtube.com/watch?v=6sxCFZ8_d84

  • 2/27/2021 本のレビュー「日日是好日」森下典子著

    2004年からサンフランシスコ郊外でブック・クラブ(読書会)に参加している.紹介で集まった日本人6、7名の月例会で、その月の課題図書について感想を共有するという会.今年で17年目、読んだ本は150冊にのぼるが、記憶力が悪い私でもブック・クラブで話し合うことによって、どんな本だったか思い出せる.また、旅行先や日々の生活でフラッシュ・バックの様に主人公の心境や本の光景に出くわす.ここに主人公がいたのか!と感動と嬉しさで、ひとり興奮することもある.また、自分で選ぶとジャンルが偏りがちだが、ブック・クラブでメンバーが推薦する本は思ってもみない作家になることもあり、視野が広がり、また海外生活による知識の深みも加わり楽しみも増す.日常に追われると物事を深く思考しなくなりがち、脳に少しでも血(知?)となり肉となっていることに気付いたのは7~8年が経過した頃. さて、今回は2018年に読んだ「日日是好日」(森下典子著). <本の内容> 大学生になった主人公は、ぼんやりと文章を書く仕事に就きたいと夢を見ながら日々が過ぎてゆく.そんな時、母親に「茶道をしている人は所作が違うから、習ってみたら?」と勧められ、従妹と近所の茶道の先生宅に通うことになる.卒業後、出版社に勤め、婚約し、婚約者にふられ、暖かく見守ってくれた父親が亡くなる.その間も細々とお茶のお稽古には通う主人公.弟子の中では中堅どころになり、茶道を通して人生や自然について学んでいると気づく. <感想とブック・クラブ> 何故、この本をこんなに好きになったのか分からないが、各章で共感できることがあり、文章が簡単なこともあり心に沁みわたり、私の心境にドンピシャとはまった.題名にもなった「日日是好日」“Everyday is a good day”と英語で言ってしまうと、何の変哲もない言葉だけれど、日々そう感じながら暮らすのは難しい.また、2月の掛け軸の言葉「不苦者有知」は「ふくはうち」と読み、「苦と思わざる者は知あり」.実に、そのとおり. ブック・クラブの話合いで「茶道はもてなし.その訓練をするべきなのか?」という質問があった.私の高校では茶道の授業があり、母の薦めもありそれ以来8年ほど続けたが、もてなしの稽古とは思ったことはなく、日本伝統の暮らしの美学(シンプルで清潔に)や、手の表情など動作を鍛錬する場だった.竹のひしゃくからお湯を注ぐ音の心地よさ、その音は冬と夏では微妙に違ったことなど、この本から記憶がよみがえった.時には「心ここにあらず」の状況でも、目の前のことに集中することは大切. とは言うものの、一杯のお茶を点てるのに、30分近くかかる茶道に比べると、生け花や料理教室の方が実用的.本にも「おばさん達の(お道具)『拝見』は尋常じゃなかった」とあったが、お道具の拝見で、お茶碗の絵や手触りの違いは眼で分かるが、今でも「この茶杓と私の2000円の茶杓とどこが違うの?」と理解できない、エキセントリックな世界であるのも事実. もう一つの質問で「茶道が女性主流になった理由?」は考えたこともなかったが、武士社会で普及した茶の湯は、武士がいなくなり女子教育が普及した明治からだと思う.伝統文化に触れるチャンスという意味でも結構なことであり、最近の日本では週末だと男性も参加しているらしい. 「成長を待つこと」の章にあった「本当を知るには時間がかかる.けれど、あぁそういうことだったのかと、分かった瞬間、私の血や肉となった」に関して言うと、作者の茶道は、私のブック・クラブかもしれない.ブック・クラブを続けて「ブック・クラブで話したのは、これだわ!」と直感したことを思い出す.私の脳と精神の血となり肉となっている.ブッククラブとそのメンバーに感謝. この本で最も共感できたのは「雨の日には雨の音を聴く」.カリフォルニアに引っ越して以来、雨の音を聴きながら本を読む日は贅沢とも言える時間.この言葉の裏にあるのは、恐らく、その時の状況を受け入れて、堪能するということ.この20年間、アメリカでの生活で自分自身に言い聞かせたことが、この一句に集約されている.On a rainy day, listen to the sound of rain with your whole body. 下図はブック・クラブのメンバーの一人が、この本のポイントをまとめてくれた. この本を読んだ後、大ファンだった樹木希林さんと黒木華さんの主演で映画化され、私は帰国の折、母と一緒に喜々と映画館へ足を運んだ.本とは少し違い、映画で設定されたのは私が学生だったバブル時代. 主人公が置かれた環境と心境が似ており、私の場合は地味な学生だったけれど少しばかり留学を考えていた.迷いがありながらも、何となく幸せで、当時は優しくも個性的な学生が多い学校を選んでくれた両親に感謝をしていた.今、その気持ちも忘れていることを映画が気づかせてくれて涙.中盤からは音楽が流れるだけで涙が流れる.なぜだろう、泣かせる映画ではないのに.これがDNAに訴えかける、ということかしら. 茶道を続けている母は、その朝は午前五時起きだったので、最初の15分で寝てしまう.途中、むっくり目を覚ますと「ゆきちゃん、これは表千家.私は、裏千家」と言い、またうつらうつら.「このままで良い、変化は時に悲しみももたらす」と暗がりの中、母の寝顔を見た. https://www.youtube.com/watch?v=ItnysMt_cBw https://www.youtube.com/watch?v=cHMg7lnqjHc https://www.youtube.com/watch?v=ktL0Il6Tf1Q

  • 2/24/2021 WCPE クラシック・ステーション

    今回はクラッシック音楽ばかりを一日24時間、コマーシャルなしで提供してくれているラジオ局、WCPE(https://theclassicalstation.org/)をご紹介したい. WCPEはノースカロライナ州の州都、ローリーエリアに拠点を置き、この40年以上、リスナーからの寄付、そして少人数のスタッフとボランティア・アナウンサー(また200名近くのボランティア)によって運営を保ち続けている.クラッシック音楽専門のラジオ局というのはもはや稀の時代になってしまった.よって大変貴重でもある.インターネットの恩恵もあり、WCPEのファンは地元ノース・カロライナに限られず、今や世界中に存在するという. ノース・カロライナに越してきた2006年より、私達も文字どおり朝起きてから夜寝るまで、日々WCPEのお世話になっている.数えきれないほど豊富なレパートリー、また質の高い録音が途切れることなくバックグラウンドとして聴ける、WCPEなしでは叶わない贅沢.WCPEファンがたくさんいるからこそ、企業や政府、教育機関などのスポンサーがなくとも、一日24時間、週7日クラッシック音楽三昧、という独立独歩のポリシーが守られ続けている. 局の運営資金の多くは春と秋の年に二度、一週間ずつ行われる募金活動により得られ、sustaining member(維持会員)になるリスナーも多いようだ. プログラムは曜日と時間帯によって色々なテーマがあり、テーマ、時間によってアナウンサーが交代する.例えば朝の早い枠は「Rise and Shine」というプログラムで、明るく爽やか目なレパートリーが多く、木曜の夜は「解説付きオペラ」、そして日曜の朝は「sacred music」といった具合だ. アナウンサーの声と、音楽のチョイスで一日の時間の流れを感じたり、家から離れた場所で運転している際にふとした拍子でWCPEを見つけ、耳慣れたアナウンサーの声にホッとしたり、WCPEが生活の一部になっている.去年は夜間の聴視者が増加したそうだ.眠れない夜、和みたいとき、元気をもらいたいとき、WCPEはいつもそこにいてくれる. https://theclassicalstation.org/listen/

  • 2/15/2021 「バッハ・ダブル」ニ短調、BDV 1043

    「バッハ・ダブル」協奏曲は、「2人のソリストがメロディックなアイデアを行き交わす純粋な音楽的対話である」とBurton-Hillは語る.恐らく、ヴァイオリンを学習するほとんど全ての学生がかなり若い年齢で第一、第二ヴァイオリンの両方のパートを演奏(または学習)する作品といっても言い過ぎではないであろう.「バッハは、他の作曲家がほとんど近づけないくらいの技術的奏法を使って、人の心を音楽によって表現できる」とBurton-Hillはの作曲技法を結論付ける. バッハの伝記(1873年)の中で、フィリップ・シュピッタは「バッハ・ダブル」につて次のように記している. "Dem D moll-Concert ist unstreitig der höchste Werth eigen und in dieser Eigenschaft findet es auch unter der heutigen musikalischen Welt schon eine erfreuliche Beachtung. Zwei Soloviolinen sind hier herangezogen, doch kann man nicht wohl von einem Doppelconcerte reden, da die beiden Geigen weniger unter sich, als vereinigt gegen den Instrumentalchor concertiren. Eine jede ist natürlich mit der Selbständigkeit behandelt, die bei dem Bachschen Stile ohne weiteres vorausgesetzt wird. Im Mittelsatze, einer wahren Perle an edlem, innigem Gesange, verhält sich das Orchester fast nur accompagnirend, wie es bei den Concertadagios ja das Gewöhnliche war.” (Philipp Spitta) 「ニ短調協奏曲は間違いなく最高の二重奏であり、現代の音楽界から高く評価されている.厳密に言えば、ふたりのソロ・ヴァイオリンにより演奏されるので、二重協奏曲ではない.言い換えると、二本のヴァイオリンがパート別にお互いに演奏しあうというより、それぞれのパートが、バッハ独特のスタイルで独立性のあるパートとして作曲された曲を、ふたりの演奏者がソリストとして演奏する曲である.高貴で表現力豊か、メロディーの真珠と言われている、ミドル・ムーブメント(第二楽章)では、オーケストラは協奏曲のアダージョで通常演奏されるように伴奏役に回っている.」(翻訳ベル/フラーメイトランド) 多くのパフォーマーによるレコーディングの中から、1974年にモスクワ室内管弦楽団と録音された、David Oistrakh(デイビッド・オイストラッフ、編集者が好むヴァイオリニストの一人)と彼の息子である、Igor Oistrakh(イゴール・オイストラッフ)による演奏を選んだ.(ドイツ・グラモフォンによるレコードのジャケットは1963年版) https://www.youtube.com/watch?v=4mcucvpIatY&list=RD4mcucvpIatY&start_radio=1&t=142 追記: オイストラッフは1974年10月にアムステルダムで演奏旅行中に心筋梗塞で66歳の若さで客死している.レコーディングが1974年にモスクワでされたとすると同年だ.何か疲れているように見うけるのは考えすぎか.メニューヒンによるとオイストラッフは西では考えられないハードなスケジュールをこなしていたという.

  • 2/23/2021 「麒麟が来る」 放映終了

    大河ドラマ「麒麟が来る」放映終了.始まった時から、どういうエンディングになるのかがずうっと気になっていた.予想外のラストは良く決まっていた.なんというか、筋立てとか技術論よりも、この番組で作られた光秀像にぴったりな感じだったと思う. 僕は吉川英治の太閤記を小学校6年の時に読んだ。父も兄も大の読書家だったが、戦後まもなくでかなりの数、中古の本が多く、日本史に関連する本を拾い読みしても、旧かな使いで、天皇尊重第一のものがほとんどで、そういう風潮の中でどちらかとえいばネガティブな光秀像が僕の中に定着していた。 中学高校と読書の中身に横文字文学ものが多くなったのはやはり当時の若者文化がそうだったからだろうが、社会に出て司馬遼太郎を知り、テレビの新撰組血風碌にはまり、彼の中期くらいまでの本はあらかた読んだ.高校で日本史を真面目に聞いていなかったため、小生の近世日本の歴史に関する知識というか理解はまずすべてが司馬の小説によっている(歴史学者は司馬の歴史観、というものをよく思わないそうだが、彼はあくまで小説家にすぎない、ということはよく承知しているつもりだが). 司馬の描いている光秀像は今回のように理想の実現を人生のテーマにした人物ではない.むしろ権力のはざまで抜き差しならぬ状況に追い込まれた悲劇的人物、という書かれ方をしている.現実だかどうだったかかは、もちろん知る由もないが、麒麟を連れてくることができなかったという悔恨の情が信長の最後を遠巻きに見ていたシーンによく表れている.このシーン前後の長谷川博己の表情の描写は僕の心に突き刺さった想いで見た. 秀吉が朝鮮征伐なぞという愚挙を起こさなければ、そして最晩年の狼狽がなければ(これが例えば家康などに比べたときのインテリジェンスというか秀吉の人生観の限界をしめしているのだと思うのだが)麒麟になり得たかもしれない.”戦がなく、人々が安心して暮らせる世の中“ は、結局、3世紀続いた徳川時代であったのだろうか.悪しき封建主義だとか身分制度だとか、男尊女卑だとか、はたまた時代劇に必ず登場する悪代官だとか、ネガティブな話はいろいろあるが、世界に誇る江戸文化や京の静寂や人々の間に定着して明治への見事な転換をささえた倫理観とか、そういう現代への遺産を当時戦乱と後進国の収奪に明け暮れていた西欧の歴史と比べてみて、”日本に 麒麟は来ていたのではないか とおもったことだった. 1945年の敗戦以来今日まで、そのプロセスにありとあらゆる議論があるのを承知でなお言えば、この75年間のあいだ、戦争で死んだ日本の若者はひとりもいない.何が何と言おうとこれは事実である.チャーチルやメルケルみたいに国民に訴えた政治家がいなかったとか、拝米主義だとか、偶然だとか、いろんな議論は当然あるだろう.しかし僕は確信しているのだが、数世紀あとの歴史家はこの時代を日本史上最良の時間だった、と解釈すると思う.それが麒麟のせいだというかどうかは別だが. https://www.youtube.com/watch?v=OJ2LNz99qZA https://www.youtube.com/watch?v=Z04NVGgxsFQ

  • 2/21/2021 スタンリー・トゥッチ 「イタリアの旅」

    食べ物やイタリアが好きな人なら誰でも、CNNのこの6部構成のシリーズを楽しめると思う.各1時間のエピソードは、ナポリとアマルフィ海岸、ローマ、ボローニャ、ミラノ、トスカーナ、シチリアの6か所のイタリアの地域に焦点を当てている. スタンリー・トゥッチは、彼のキャリアを通じて多くの映画やテレビ番組に出演してきた多才な俳優として知られており、この番組のガイドでもあり、番組の著者でもある.彼の信じられないほどの演技スキルに加えて、「トゥッチ・クックブック」と「トゥッチ・テーブル:家族や友人との料理」という2冊の料理の本の著者であり、料理人でもある.イタリア系のアメリカ人であるトゥッチは、各地域の多種の食べ物、住人、風景を知識と情熱を持って説明する. 最初のエピソードは、2月14日、日曜日の午後9時にCNNで放映され、最後のエピソードは3月21日に放送が予定されている.Comcastなどのケーブル・プロバイダー、Hulu、YouTube TV、Slingで番組をストリーミングすると、見逃した番組 でも見ることができる. https://www.youtube.com/watch?v=cCixgQe48Yw

  • 2/20/2021 巣ごもりでYouTube「夕陽のガンマン」

    三寒四温.こちら東京の西部では今年の2月は温かい日の気温が例年より高めで春の訪れを感じさせられる黄色い菜の花が咲き誇っています.晴れた日は空は青く、陽気が良くなってきましたが、花粉症には辛い季節が始まっています😿 . 昨年春のコロナ自粛で巣ごもり生活が始まってから、TV NHK BSシネマで放映されている映画をよく観ています.昔の映画が多いのですが、その中から今回は、暴力的な面もあるので若い頃から殆ど観てこなかったマカロニウェスタン (アメリカではスパゲティ ウェスタンと言うそうですね!最近、教えていただいたばかりですが) クリント・イーストウッド主演の「夕陽のガンマン」 “For a Few Dollars More”. 1965年イタリア制作の西部劇、監督 Sergio Leone(セルジオ・レオーネ)、音楽 Ennio Morricone(エンニオ・モリコーネ)を鑑賞後、テーマ曲をYouTubeで.よって今日はYouTubeでテーマ曲のご紹介を少々. いろいろな演奏がありますが、先ず、Ennio Morricone のテーマ曲を口笛とギターで. https://youtu.be/PgtKt3wgcas 次は、The Danish National Symphony Orchestra (デンマーク国立交響楽団)による演奏.初めは画面を観ずに聴くだけにして、何の音をどんな楽器で演奏しているのか当ててみましょう. 「夕陽のガンマン」”For a Few Dollars More” https://youtu.be/DT1NJwEi6nw 「続・夕陽のガンマン」 ”The Good, the Bad and the Ugly” https://youtu.be/enuOArEfqGo Wikipedia によると「レオーネの ”荒野の用心棒” A Fistful of Dollars 1964年制作は映画音楽と映画シーン(音と絵)との関係を変えた.いままでのように常にバック・グラウンドに流れていたオーケストラでなく、音で絵を描く、セリフの代わりに音楽にストーリーを語らせる」方式にしたとのこと.「夕陽のガンマン」1965年制作でも同様の方式を使ったようである. 悪役が多い、共演のリー・ヴァン・クリーフ Lee Van Cleef が最後に立ち去る時、格好良かったのですが、「続・夕陽のガンマン」で、また、 the Bad になってしまうのが残念でした. 同じくYouTubeで恵美さん(ブログ編集者)に教えて頂いたURLで晩年のホロヴィッツが弾くリストのコンソレーションを聴き、心にしみる演奏でしたが ♫  余韻を・・・ と思いきや、「夕陽のガンマン」 “For a Few Dollars More“ が流れてきてビックリ! YouTube が続けて、前に聴いていた曲を流していました.要、YouTubeの使い方です. .☆.・**・.☆.・**・.☆.・**・.☆.・**・.☆.・**・.☆.・**・.☆ 話題は変わり🐈、おまけに、 窓の CM ですが「窓と猫のシリーズ」を観て癒されています.この会社の回し者ではありません.猫が苦手な方は見ない方がよろしいでしょうニャー. 似たもの同士 https://youtu.be/i5RdHVTFm_M 見とれすぎて https://youtu.be/38HrjVBbxzY お留守番   https://youtu.be/6lPoXyp0tWs

  • 2/16/2021 シューマン ピアノ・カルテット 変ホ長調、op 47、第三楽章、アンダンテ・カンタービレ

    パリ6区の右岸にある小さな教会で初めて「生」でシューマンのピアノ・カルテット 変ホ長調 op 47 を亡夫と共に聞いたのは十数年前になるであろうか.夫は5区(左岸)で生まれ、ルクセンブルグ公園が幼少時の遊び場だったという生粋のパリジャン.よって右岸にあるその小さな教会の存在も知っていた.演奏は若いフランスの演奏家たちで、その熱演ぶりには感動した覚えが今でもある.特に美しく、感動的な三楽章のアンダンテ・カンタービレは一般的に良く弾かれる楽章である. Burton-Hillによると、クララ・シューマンとロバート・シューマンは(ロバート・シューマンがティーン・エイジャーのころに書いた簡単なカルトットを除いて)1842年6月まで本格的な室内楽曲を作曲したことがなかったそうだ.1842年が ”Year of Chamber Music" 「室内楽の年」と呼ばれるように、6月からその年末までにロバート・シューマンは3曲の弦楽四重奏曲、ピアノ五重奏曲一曲、そしてこのピアノ四重奏曲 op 47 を作曲している. 芸術家一般に言えることではあるが、ロバート・シューマンは「彼の人生と彼が作曲した曲にその性格、人生が最も現わされている作曲家」だとBurton-Hillは解説する. https://www.youtube.com/watch?v=9QDYe916B98&list=RD6VsLshXUyio&index=6 Cello: Gautier Capuçon Viola: Lyda Chen Piano: Martha Argerich Violin: Renaud Capuçon このレコーディングで演奏している、ヴァイオリニストのルノー・カプソンと弟のチェリストのゴーティエ・カプソンはフランスの若手の演奏家で、兄ルノー・カプソンはフランスが誇る、現存のヴァイオリニストとして最も優れたヴァイオリニストとされている.編集者がパリで「生」で聞いたシューマンも彼ら兄弟がまだより若かったころの演奏であった.

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